【銀魂】シスコンな兄の尻拭い10 【柳生篇・吉原炎上篇】

腹の調子には気をつけろ　五 ページ13

「オメーがやられたら、この喧嘩負けなんだよ」

　土方のその言葉に新八は目を見開いた。

「姉貴に会え。たとえ勝負に勝とうがてめーの姉貴の気持ちが動かねーなら連れ戻すことなんざできねーよ」
「……マヨネーズ、おごります」

　新八は唇を噛んでグッと気持ちをこらえ、土方に背を向けて走っていった。

「アレが大将か。ずいぶんと情けない大将だ。キズついた仲間を置いて逃げるとは……Aを頼って彼女を大将にするよりはマシだが」
「バカヤロー。アイツを大将にしたらお前らに勝ち目はねーよ。ハンデだハンデ」

　土方はタバコを吸ってゆっくりと紫煙を吐く。

「しかし、お前と対決できて幸運だな。テメーにはAのことで聞きてーことがある」
「ああ……君もAを気に入ってるのか」
「『も』か……てめー、お妙を娶(めと)るっつーのにAもたぶらかしてるようだが。どういうつもりだ。返答次第じゃ……」

　タバコに触れる手を下ろして刀を構える。
　鋭い瞳孔は殺気で飲み込むように九兵衛を睨みつけた。

「……怖いね。けど心配はいらない。僕は確かに彼女を慕っているが、親友以上でも以下でもない」
「本当にそうなら良いんだがな」
「君こそAにずいぶんとご執心じゃないかい。鬼の副長が、意外だね。君のような人はあまり女性に執着しないように思えるが……Aだからかな？」
「……バカ言え。俺は奴の剣に執着してるだけだ」
「あまり素直じゃないと、そのうち別の奴に取られる、ぞ！」

　九兵衛は一歩踏み込んで土方に斬り込んだ。
　ガン、と音が鳴り土方が攻撃を受け止める。

「言っておくがウチの大将は君たちには倒せん。おじい様は僕の剣の師。柳生家歴代当主の中でも最強と謳われる剣豪」

　久兵衛が褒める剣豪は今

　全裸でトイレの個室を開けて出てきていた。

　東城は目の前にいて、しばらく無言の時間が生まれる。

「……あの、ビッグフットなんだけれども。アレ……ティッシュとか持ってない？」
「何やってんですか敏木斎様」

　敏木斎は何も返答せず、そのまま何事もなかったかのように個室に戻っていった。

「もォォォ！！全然通じてねーじゃん！」
「バカだろ。ホントにやるか」

　声を上げる敏木斎に銀時がツッコんだ。

「敏木斎様、大将にあまり勝手にウロウロされると困ります。Aさんに遭遇したら本当にマズいですよ。勝てるものも勝て……ゔ」

　東城は言っている途中で急に腹痛に見舞われた。

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