4話 ページ4
『たとえば、あの偉人がもう一度生きてくれたら良いのに。そう思う事ってありますよね。』
私は彼にこんな口振りで話し始めた。
『貴方達、文豪の死後、我が日本の文学は衰退を続けました。』
彼は小さく 「そうなのか。」と呟きました。比較的早い時代に活動し、亡くなった彼は
その後の文学も、今の文学も勿論知りません。
事実、彼らの時代ほどではありませんが、今も新たな文学が作られ、人々に愛されています。
『衰退を続ける文学に対して危機感を持った政府が、文豪である貴方達を転生させ、
文学の危機を乗り越えようとした訳です。』
私が彼らを騙すために考えた嘘でした。
今を知らない彼らにとっては、信じるも、疑うもしずらい難解な嘘です。
彼は、黙って私の話を聞いていました。そして納得したのか、顔を上げて
「わかったよ。君を信じる。これから、よろしく頼むよ。」
図書館、初めての文豪が誕生しました。
私は、彼を連れて図書館の館内や、建物を教えて回りました。
...文豪達が穏やかに暮らすための建物といい、地下室や、潜書室を見せないようにして。
彼は、館内を回る内に、だんだんと話の信憑性が増したようで、案内が終わる頃には
すっかり信じきっていました。
信じきった彼が私に問います。「他の文豪は来ないのか」と。
私は待ちに待ったその言葉を聞き、司書室から持ってきた有魂書を見せて説明します。
『徳田先生には、この特別な本、有魂書の中に入り新たな文豪を連れてきてもらいます。』
「へぇ、この中から転生させるのか。」
信じきった彼が潜書しました。なにもかも順調です。
完了までの、30分を図書館の整備の時間にあてます。利用者が増えることでしょうから。
司書さんは、彼らの幸せを願っています。
それが間違ったものだとしても、司書さんの愛は本物でした。
有魂書にいる彼に、無事であれと祈りを送り、忙しく仕事を始めました。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←3話
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チャワ - 忠告ありがとうございます。助かりました。 (2019年7月1日 15時) (
レス) id: c51dfc919a (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年6月30日 19時) (レス) id: cc384a4978 (このIDを非表示/違反報告)
ルール嫁 - オリフラ (2019年6月30日 3時) (レス) id: fd88cf8001 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チャワ | 作成日時：2019年6月30日 0時
