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「どういうことなの！？
ダヨンちゃんに謝ってよ！！」
ハナの手には、赤いマジックで
内容が分からないほど落書きされた
教科書や体操着。
「えー、何？
何のことか分かんない」
ハナに怒鳴られてるイソさんはとぼけてみせる。
「あなた達がやったんでしょう！
分かってるんだから」
途端にハナさんは目をつり上げた。
「えー何それ。証拠は？
私がやったって証拠はあるの？」
「ないけど……
あなた達がやったのは
分かってるんだから。
最近ダヨンちゃんを虐めてるじゃない」
「あははっ、証拠もないのに
言い掛かりは止めてよ。
ねえ、ダヨン、
私達虐めてなんてないよねぇ」
「えっ、その……それは……」
イソさんはダヨンさんに視線を移すと、
ダヨンさんはびくりと体を震わせ
視線を彷徨わせる。
あんな般若のように睨まれたら、
大人しい彼女が太刀打ちできるはずない。
ダヨンさんは
否定も肯定もできず顔を俯かせた。
そんなやり取りを私たちクラスメイトは
傍観者として眺めているだけ。
イソさんに目を付けられたくないのは
皆一緒だ。
「こんな卑怯なマネするなんて
最低よ！」
「だからぁ、私がやったって
証拠を出してから言いなさいよ。
証拠もないのに言い掛かり付ける
あんたの方が最低じゃない」
イソさん達グループがやったのは
誰の目にも明らかだが、
確かに証拠がなければ言い逃れられてお終いだ。
押し問答が続くのかと思ったが、
ハナはなにを思ったのか
ヒスンの所へ向かったのだ。
「ヒスン、お願い。証拠見つけて。
ダヨンちゃんを助けてあげたいの」
ざわりと教室が揺れる。
ヒスンが出てきては
さすがのイソさんも勝てない。
目に見えて焦りの表情を
浮かべている様子だ。
しかし、ハナを見たヒスンは、
次の瞬間には興味を失ったとばかりに
ハナから目を離した。
「ヒスン！」
ハナが必死で呼びかけるも、
ヒスンはもう視線すら向けない。
「ヒスンってば、お願い！！」
「うるせぇ」
ようやく返事が返ってきたと思えば、
それは恐ろしく低い声色。
教室内にピリリとした空気が流れた。
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作者名：yori | 作成日時：2022年4月12日 0時
