君の視線から ... (ページ20)

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昨日と同じ非常階段の
同じ場所でお弁当を広げていると、
また階下の扉が開く音と
コツコツと誰かが上がってきた。

そうして現れたのは、
鉄の掟を知らない一年生などではなくヒスンで。

昨日と同じ踊り場の壁に寄り掛かり、
何をするでもなくその場に留まった。

そうして今日も
授業が始まる前になると去っていった。

彼が何がしたいのかはさっぱり分からない。

せめて表情から何か掴めれば良いのに
無表情の彼からは何も掴めず。

話し掛けてくるでもないし
何か用があるわけでもなさそうだ。

大体、私に用があるはずもない。

益々謎は深まる。

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そしてヒスンが非常階段に
来るようになって五日目。

最初は気まずさを感じていたものの、
特に会話もなく静かな時間が流れる
その空間に私は慣れ始めていた。

そうすると、
今度は物事を考える余裕が出て来るというもので、
この日初めてヒスンに話し掛けてみることにした。

…そう決意したものの、

どきどきと心臓が激しく鼓動する。

ヒスンを見ては
口を開こうとして、口を閉じる。

それを何度か繰り返していると、
低く落ち着いた声が聞こえてきた。

「なに」

はっと顔を上げると、
ヒスンがじっとこちらを見ているではないか。

「えっ？」

「何か言いたそうだったから」

まさか先に声を掛けてくるとは
思わなかったから、動揺してしまう。

「あ……えっと……」

話し出すのを待つヒスンに、

小さく問い掛ける。

「あの、お昼ご飯

……食べないの？」

ここに来るようになってからというもの、
昼休みの間ずっとこの非常階段にいるヒスン。

その間、お昼ご飯を食べる様子はない。

お腹は空かないのだろうか？

そう思っての問い掛け。

問い掛けてみたものの、答えは返ってこない。

余計なことを聞いてしまったと後悔…

すると何を思ったのか
ヒスンがこちらへと近付いてきて、
私の隣の一段上の階段に腰を下ろした。

手を伸ばせば触れてしまうほど近く。

急激に近くなったその距離感に

戸惑う。

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