12 ページ12
.
不満げなハナを連れて
席へと戻るソンフン
そこには既に興味を失った様子のヒスンと、
何が面白いのかニヤニヤと
笑みを浮かべるニキがいる。
席に座ると、ソンフンはハナへ説教を始めた。
「何してくれてるの？
ソアさんと諍い起こすのは
面倒だから止めてくれる？
彼女には親衛隊とか色々ついてて、
俺達でも下手に手を出せないんだから」
「私はただ、女の子の友達が欲しくて。
いつも一人でいるAちゃんなら
私と友達になってくれるかなって思って」
思わず溜息を吐くソンフン。
いったいどうしたら、
彼女なら大丈夫と思ったのか
理解ができなかった。
Aに手を出すのはソアよりもっと悪いことを
ソンフンは知っている。
女の子の友人がいないので噂に疎いのかもしれないが、
鉄の掟を知らなかったとはソンフンも
思わなかったらしい。
「Aさんは別にハナと違って友人が
いないんじゃないよ。
むしろ顔は広い方じゃないかな。
友人も多いし彼女と話したがる人は多いよ。
でもそうしないのは鉄の掟があるからだ」
「さっきも聞いたけど何？その掟って」
どうやら本当に知らないようで、
ソンフンはまた溜息を吐いた。
「俺も知らねえ、何それ？」
「ニキ、お前もか」
ソンフンは窺うようにヒスンに視線を向けたが
きっと知らないだろう。
そういうのには興味ないからと視線を外した。
「ソアさんもそうだけど、
Aさんにも親衛隊がいるんだよ」
自社ブランドのモデルも務める、
社交的で華やかな美しさを持つソア。
一方、一度も染めたことがないだろう
美しい黒いストレートの髪に、柔らかな雰囲気。
大人しく白が似合いそうな
儚げな美しさを持つA。
よく図書室にいることから、
図書室の天使と密かに呼ばれていたりする。
学校内でも特に人気の高い二人には、
彼女達のファンで結成された親衛隊なるものが存在した。
「その親衛隊が決めたいくつかの決まり事があるんだ。
その中でも特に守らないといけない決まりが鉄の掟。
Aさんが読書をしている時は、
騒がない、話し掛けない。
そして昼休みには非常階段には行かない。
その二つは親衛隊以外にも
守るようにって周知されているんだよ」
「へえ、つまりハナはその読書中に話しかけて
鉄の掟を破ったってことか」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 316人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yori | 作成日時：2022年4月12日 0時
