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そうして不安を抱えたまま週明けの月曜日。
憂鬱な一日が始まった。
「行きたくない……」
この日ほど学校が憂鬱に感じたことはない。
けれど、行かないわけにもいかず
支度をして学校へと向かった。
学校が近付くにつれ、
生徒を見掛けるようになり
校門を通り過ぎる頃には四方からの視線が痛い。
「ねえ、ほんとかなぁ」
「でも、EN-の奴らが見たって」
「でもさぁ……」
ヒソヒソと声が聞こえてくる。
知らぬふりをしているが、
「ヒスン」とか「EN-」とか
「付き合ってる」とかいう
ワードが聞こえてくるので
そのことを話しているのは確実だ。
幸いにも、
直接聞いてくる者がいないことに
安堵していたのもつかの間、
教室に入った瞬間私はクラスの女子に囲まれた。
思わず後ずさりするも
容赦なく質問が飛び交う。
「Aさん、ヒスン様と付き合ってるって
噂があるんだけど」
「本当なの！？」
「ただの噂よね！？」
「手を繋いでEN-に現れたって
聞いたんだけど本当！？」
怖い顔で迫ってくる女子の迫力に顔が引き攣る。
「どうなの、Aさん！」
私の逃げ道を塞ぐように囲まれる。
想定していたとは言え、
女子の圧は恐ろしい。
「えーと…それはその……」
「Aちゃん！！」
私の言葉を遮るようにして
大きな声を上げたのは、ハナだ。
ハナは私囲む女子達を押しのけて
目の前に陣取った。
周りの女子達の嫌悪感を漂わせた視線には
気付いていないようだ。
そして、相も変わらず
馴れ馴れしく私を名で呼ぶ。
「さっき変な噂を聞いたの。
ヒスンとAちゃんが付き合ってるって。
そんなことないって言ったんだけど、
信じてくれなくて。嘘だよね。
ちゃんと否定しないと駄目だよ。
ヒスンに迷惑かけるから」
ハナはいったい誰目線で話しているのか。
噓と決めてかかる上に、
私が悪いとでも言いたげだ。
その言いようには
さすがにムッとして口を開いた。
「嘘じゃない。
ヒスンとは付き合ってるから」
そうはっきり告げると、
にわかに女子生徒達は沸き立つ。
「やっぱりそうなんだ！」
「きゃあ、いつから？
いつから付き合ってるの？」
「ヒスンだって。呼び捨てにしてるの？」
楽しんでいるようにすら見える
女子生徒達とは違い、
ハナは怖い顔で私を睨み付けた。
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作者名：yori | 作成日時：2022年5月11日 18時
