17 爆豪勝己は見た ページ17
「セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難して下さい。」
食堂に警告が鳴り響いた。その警報を聞いた瞬間、場にいた全員が一斉に逃げ出したので人の波ができた。その波に私ものまれ、人の多さ、密集に吐き気がこみ上げてきたが何とか堪え、一旦落ち着き、外を見てみる。
ここからじゃ何も見えないな…。しかたない、ダメ元で行くか。
美麗は音も無く、一瞬にして、そこから消えた。
「いてえいてえ!!」
「押すなって！」
「ちょっと待って！倒れる！」
「押ーすなって！｣
爆豪勝己は苛立っていた。人の波にのまれるし周りはうるさいし。なんなら爆破でも起こして今すぐここから逃げ出したい気分だが、それはそれで後から面倒くさいことになるので、今はどうすることもできない。
ふと、横を向くとさっきまで隣で昼食を食べていた眼帯眼鏡女がいた。そういえば同じクラスだったな……オールマイトに殴られた、こっちにガン飛ばしてきた、この…女……。
そうだ。そもそもこいつのせいでこんな事になったのだ。こいつが俺をあんな目で見てこなければ何なんだと一言だけ言ってさっさと教室に戻ってたのに……。
苛立ちが倍増し、文句の一つでも言ってやろうと口を開くと、その苛立ちの元凶の女が、一瞬にして消えた。
「……は？」
思わず口から間抜けな声が出た。訳も分からず、呆然とする。今、確かにいたのだ。隣に、あの、嫌な目つきをした女が…。
何だ……個性か…？
だけど、あいつは一瞬にして消えるなどという個性、持ってなかったはずだ。それに、この前の授業でオールマイトとしたときは、風とか空気操作っぽい個性だったし……。
「大丈ーー夫！！」
考えていたら、いつの間にか飯田が非常口のように前にくっ付いていた。何やってんだあいつ。
それから飯田の呼びかけにより、場の全員が安心したように教室に戻って行った。教室に戻ると美麗は席に着いていた。爆豪は、やっぱりあれは、幻覚でも見間違いでもないと確信した。見かけはパッとしないが、もしかすると強い個性なのかもしれない。爆豪の中に、また新しいクラスメイトが刻まれた。
「……」
「……ガキ？」
最大のミスであり、ピンチである。ダメ元で来たら、目の前に、死柄木さん……恐る恐る後ずさりし、くるりと逃げ道の方向へ体を向ける。
「待てよ」
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作者名：えーり | 作成日時：2019年5月9日 0時
