. ページ17
.
いつもならネット通販で買うか、安室の服ついでに買う郊外にある大型衣料店。
可愛らしいデザインに、Aは着られていた。
そんな日常から、
「…これ、いいな」
少しだけ変化が生まれる。
嬉しそうに彼女の手元にあるのは、シンプルで小さく柄があしらわれたシャツ。
大型商業施設の専門店。
いくら子供向けのアパレルブランドとはいえ、家族揃いで着られることがコンセプトにされているためデザインも大人しい。
いつも買う服よりも少しだけ値段が張る。
値札を見て元の位置に返そうとする小さな手を掴んで、
「今日は好きにしていいから」
服を奪って手元に置いていく。
Aは申し訳なさそうに小さく礼をした後、またハンガーラックに目を向ける。
そのきらきらとした目が愛おしくて、
「すみません」
夢中になる彼女から離れて、
「これの大人サイズってあります？」
店員に話しかけ、しれっと自分の服も増やしていく。
楽しそうに服を選ぶAをちらりと見て、店員は嬉しそうに用意してくれた。
店を出、少女は少し恥ずかしそうに、
「ありがとうございます、いっぱい買ってくれて」
様子を伺うように安室の顔を覗き込んだ。
「せっかく買ったんだ。着替えてきたらいいんじゃないかな」
服の入った袋を渡し、笑いかける。
Aは袋の中を開け、あっと声をあげて、
「ちゃんとタグ切ってある…」
「さっき今から着るからって頼んだんだ。
ほら、すぐそこにお手洗いがあるから行っておいで」
安室の言葉を聞き、彼女はぱたぱたと走っていく。
(じゃ、僕も…)
鞄に隠したもう一つの袋を出して、反対側の部屋に入る。
普段ならあまり着ない、ほんのり甘いデザインのシャツに腕を通す。
個室から出て、鏡に映った自分を見てむず痒くなった。
部屋から出て、壁に身体を預けるようにして待っていれば
「え…同じ…服…」
目を丸くしてこちらを見る少女が一人。
そんな彼女に近づいて、
「とてもよく似合ってる。
君の好みが知れてよかった」
わざとらしく頭を撫でれば恥ずかしそうに俯いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 312人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nattu(プロフ) - かるぴんさん» わわー！いっぱい書いてくれてる！嬉しいですありがとうございます;;同じ目でとかそんな…恐れ多い;;一生なんていただきとても嬉しいです！//嬉しい言葉ばかりでにこにこしてます笑コメントいただきありがとうございます！暖かく見守っていただけたらと思います^^* (7月5日 23時) (
レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - >アニメやイラストで安室さんを見てもこの小説を読む前と同じ目では見れません‼︎番外編もとても素敵です。一生忘れられないお話をありがとうございます。 (7月5日 2時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - どんどん展開に引き込まれて読む手が止まりませんでした！1コメ目なんて光栄です！Nattuさんの安室さんが本当に素敵で彼の魅力を再確認できました。 (7月5日 2時) (レス) @page12 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Nattu | 作成日時：2023年5月2日 0時
