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幼い頃の自分の服を着て、鏡で何度も自分の顔を見る少女に思わず頬が緩んだ。
(良かった。凄く喜んでくれて)
どこか灰原と同じように、ミステリアスで大人っぽい彼女。
こんな簡単なきっかけでAの一面を見れたことが嬉しかった。
「ちなみになんだけどさあ」
嬉しそうにするAに、にやにやと笑みを浮かべながら園子は言った。
「Aちゃんって、安室さんのこと好きだったりするの?」
その言葉に一瞬だけ時が止まる。
そして、すぐにAの耳が赤く染まった。
「…ただの、知り合いのお兄さんです」
あまりに分かりすぎる反応に三人で少女を取り囲む。
頬を抓ったり、髪を撫でたり。
Aは嫌そうな顔をしつつも、反抗してくることはなかった。
それどころか、
「良い風に見られたい…のは、誰でも一緒でしょ」
そう言って口を尖らせた。
(お洒落したかったのは、そういう理由だったのか)
デート前にどんな服を着たら可愛いと思ってもらえるか。
どんな女性も思うことを、この小さな子が考えていることに愛おしくなった。
いくら常識的に上手くいかないとは分かっていても、応援してあげたくなった。
「可愛い奴め〜!」
「だから、言いたくなかったのに」
「でも、その格好の動機も安室って人が好きだからなんだろ?
いいじゃないか。
僕は今の格好、好きだよ」
「世良ちゃん、アンタが落としてどうすんの」
目の前では楽しそうにじゃれる友人達。
Aはにこにこしながら二人を見ていて、
「じゃ、最後に髪も可愛くしよっか」
そんな彼女に声を掛け、綺麗な髪に触れた。
Aは大人しく蘭の前に座り、鏡越しに蘭の手元を見つめる。
くるくると巻いていけば口が半分開いていて。
「好きな人の前だもん、可愛くいたいよね?」
笑ってそう言えば、
「…透くんには内緒ですよ」
こちらに振り返って、頬を膨らませ人差し指を口元に押し当てた。
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Nattu(プロフ) - かるぴんさん» わわー!いっぱい書いてくれてる!嬉しいですありがとうございます;;同じ目でとかそんな…恐れ多い;;一生なんていただきとても嬉しいです!//嬉しい言葉ばかりでにこにこしてます笑コメントいただきありがとうございます!暖かく見守っていただけたらと思います^^* (7月5日 23時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - >アニメやイラストで安室さんを見てもこの小説を読む前と同じ目では見れません‼︎番外編もとても素敵です。一生忘れられないお話をありがとうございます。 (7月5日 2時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - どんどん展開に引き込まれて読む手が止まりませんでした!1コメ目なんて光栄です!Nattuさんの安室さんが本当に素敵で彼の魅力を再確認できました。 (7月5日 2時) (レス) @page12 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2023年5月2日 0時