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「こんにちはー」
「あっAちゃん、いらっしゃい!」
彼女が来て暫くして、ポアロでAがいることが当たり前になっていた。
学校帰りに寄って宿題をして帰宅する。
そんなごく普通の時間が、安室透としての生活を豊かにしていった。
「Aちゃん、いつものでいい?」
「はい。お願いします」
「うーん…本当は子供に毎日珈琲あげるなんで私もしたくないんだけどなあ…。
なんだか成長を止めてるような気がして」
「う…じゃあ、今日はオレンジジュースにしておきます」
「オレンジジュースもお砂糖がいっぱいだから、あんまり良くない気がするけど」
すっかり梓とも仲良くなっていて、安室がポアロにいない時も楽しく過ごしているようだった。
また、だんだんと打ち解けてきたのか、他人行儀な態度も薄れてきていて、
「透君、今日いつ頃帰ってきますか」
「今日は閉店までいるから結構遅くなると思うけど」
「分かった。とりあえずご飯作っときますね」
「いつもありがとう」
梓に内緒でこっそりと耳打ちしてくるようになった。
いきなり名前呼びに変わったのは、安室の知り合いまたは風見の妹という特殊な位置にいるからだろうか。
気が付いた時にはその呼び方に変わっていて、特に理由を尋ねることなく時が過ぎていった。
「安室さん」
店仕舞いをしていると、梓が少し躊躇ったように話しかけてきた。
「Aちゃんってどんな子なんですか?」
「えっ?」
思ってもみなかった問いに聞き返してしまう。
「コナン君達と同じ小学校で、同じクラス。
少し大人っぽくて珈琲が好きで…。
Aちゃんと話すようになってだいぶ経ったけど、未だにミステリアスな子だなあって。
安室さん、あの子の知り合いなんでしょう」
そう言われ、Aとのこれまでの生活を思い出す。
元々成人女性くらいだったのだろう、と予測ができるだけで、安室もあまり彼女の素性を知らないことに気づかされた。
否、彼女が話したがらないことを無理矢理聞くのもどうかと考え聞かなかったというべきか。
一緒に暮らしている割には、自身も梓と同程度のことしか知らない気がして、
「さあ。恥ずかしがり屋さんみたいで僕にもあまり話してくれませんから」
愛想笑いを浮かべた。
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Nattu(プロフ) - 慎さん» すみません今気づきました〜;;遅れてすみません;;作品違うのに遊びに来てくれて嬉しいですいつもありがとうございます!好きな作品被りで嬉しいです〜! (2023年1月11日 16時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
慎(プロフ) - Nattuさん〜!新作投稿ありがとうございます😊まさかの供給に少し驚きました。コナンの世界は私も好きなので今から凄く楽しみです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨今作品も変わらず、応援しております´ω`* (2023年1月2日 22時) (レス) @page3 id: a9894f14eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2023年1月2日 22時