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「風見Aと言います。よろしくお願いします」
目の前には今の自分と同じくらいの年頃の子ども達。
そこに混じっている大人びた子どもが二人。
眼鏡の少年と茶髪の少女。
(ほんとにこの世界にきちゃったんだなあ)
ちらりと彼らを気にしながらも空いた席についた。
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「へえ。僕を脅すのかい」
危険な賭けに安室はにやにやと笑みを浮かべた。
それに屈することなく、口を開く。
「貴方は独り身ですし、聞くところによるといろいろ掛け持ちされてるみたいでお忙しそうですから。
私は貴方の生活をサポートする代わりに、貴方の秘密を守る。
悪い話じゃないでしょ?」
悪戯っ子のように片目を閉じれば、
「僕のメリットが少なすぎるじゃないか」
と彼は文句を垂れた。
それを聞かずにわざとらしく彼の前に立ち、上目遣いで見つめる。
男は面倒臭そうな顔をして、視線を逸らした。
「私は貴方達が活躍する世界が好きなんです。
だから、私が秘密を喋ることでこの世界を壊したくない。
安室さんだって、予見もないのに急に危険なことに巻き込まれるなんてこと困るでしょ?」
『向こう』の世界で彼らの世界を覗いていたからこそ、自分の存在が厄介であることに気づいていた。
心苦しさがあるも、今はどうすることもできない。
だからこそ、理解を示してくれそうな安室に頼むという結論に至っていた。
一通りAの話を聞き、安室は真一文字の口を曲げ、にっこりと笑う。
「君の気持ちはよく分かった。その条件、飲もう。
僕の暮らしに介入するんだ、しっかりサポート頼むよ」
「…はい」
漫画同様に偉そうに語る端正な顔に、靄がかかったような気持ちになる。
彼とこれからのことを考え、日用品を揃える。
時折、忙しそうにAのことについて電話で誰かに話している。
誰にも伝えるな、と何度も言っている辺り、相手は眼鏡をかけた彼の部下だろう。
「それで私は風見さんの従妹という設定で暮らすってことでいいですか」
「まあ、それがいいんじゃないかな。僕は君の言う通り、幾つもの顔がある訳だしね。そう易々と安室の名前を語って貰っちゃあ困るな」
「とりあえずは風見の姓を名乗って、安室さんの親戚という気分で生きていきますね」
「…何だかややこしくなってきたな」
「貴方が言ったんでしょう」
あまり気が合わない彼とのこれからの生活に、思わず溜息が零れた。
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Nattu(プロフ) - 慎さん» すみません今気づきました〜;;遅れてすみません;;作品違うのに遊びに来てくれて嬉しいですいつもありがとうございます!好きな作品被りで嬉しいです〜! (2023年1月11日 16時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
慎(プロフ) - Nattuさん〜!新作投稿ありがとうございます😊まさかの供給に少し驚きました。コナンの世界は私も好きなので今から凄く楽しみです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨今作品も変わらず、応援しております´ω`* (2023年1月2日 22時) (レス) @page3 id: a9894f14eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2023年1月2日 22時