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「キャーンプキャンプ。またキャンプ!
明日もキャンプ、明後日もー!」
狭い車内で子供たちは元気に歌い、目を輝かせた。
「透君。コナン君達にキャンプに誘われたんだけど、行ってきてもいいかな」
「ああ。いいじゃないか、楽しそうで」
そう保護者代わりの彼からの承諾を得て、今日を迎えた。
(もう、いいか)
荷物を詰め込んでいる時、携帯電話の背面が目に入る。
心のどこかで、まだ可能性はあるかもしれないと、そう思ってしまう。
そんな揺らぐ気持ちをかき消すかのように、ケースからその写真を抜き取り棚の奥底にしまい込んできた。
リュックには子供用の服と最低限のスキンケア用品。
荷物を詰めながら、自然とわくわくで口元が緩んでいた。
車窓をぼうっと眺めながら、子ども達の会話に耳を傾ける。
「まずは着いたらテント立てなきゃなあ」
「じゃあ、僕は薪を集めてきます!」
「俺もー!」
久しぶりにこうやって集団で遊びに行くなんていつぶりだろうか。
社会人でこうして遊びに行くことはめっきり減ってしまい、まだ目的地についてもいないのに楽しいと思える自分がいて。
「歩美、どうした?具合でも悪いのか」
不意にコナンが心配そうな声を上げる。
彼女はんーと声を上げながら眉間に皺を寄せる。
どうやら車内ではしゃいでいるせいで、車酔いしてしまったらしい。
「待って、今薬出してあげるから。博士、少し止まってくれる?」
「ああ、分かっておる。少し休憩しよう」
哀の声に、車の速度は緩む。
遠くの方にサービスエリアが見えた。
間もなくして車は止まり、皆各々外へと出ていく。
「わしは飲み物を買ってこよう」
「吉田さん、少し外で休みましょう」
「灰原頼んだぜ。俺達は先にトイレ澄ましてくっからよ」
その時、哀のピルケースに
(あ、あれは…)
例の赤と白の薬が入っているのが目に入る。
喉がごくりと鳴るのを感じながら、
「あ、歩美ちゃん、歩ける?気を付けてね」
薬に気をとられまいと意識を傾けた。
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Nattu(プロフ) - 慎さん» すみません今気づきました〜;;遅れてすみません;;作品違うのに遊びに来てくれて嬉しいですいつもありがとうございます!好きな作品被りで嬉しいです〜! (2023年1月11日 16時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
慎(プロフ) - Nattuさん〜!新作投稿ありがとうございます😊まさかの供給に少し驚きました。コナンの世界は私も好きなので今から凄く楽しみです(๑•̀ㅁ•́ฅ✨今作品も変わらず、応援しております´ω`* (2023年1月2日 22時) (レス) @page3 id: a9894f14eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2023年1月2日 22時