【オリジナル】大好きな君に

48話 ページ49

杉谷side


飯田達がAのお母さんに呼ばれて、またAと2人きり。

相変わらず俺の手を握ったままのAの寝顔を見てちょっとドキドキした。

だけどスヤスヤ眠っていた顔から一変して、Aは苦しそうに魘され始めた。

怖い夢でも見ているのか、だんだんと汗が滲んできている。


起こすのはあれだけど…このままじゃ、苦しいだけだよな。

そう思って俺はAの名前を呼んだ。

何度か呼び掛けたら、うっすらと目が開かれて思わず安堵する。

でもすぐにAはポロポロと泣き出してしまった。

泣いている理由は分からないけど、なるべくAを安心させるように問いかけた。


杉谷「A…？何で泣いてるんだ？」


「っ……ごめ、何でだろ……ぐすっ、」


そう言って必死に涙を拭うAが、とっても寂しそうに見えた。

そんなAがどうしようもなく愛おしくて、思わず俺はAを抱き締めた。


「え……？」


杉谷「泣いていいよ。何があったかは分からないけど、泣きたいなら泣けばいい。

これなら、誰にも見られないから」


そして俺はAを離さないように強く抱き締めた。


「……ん、あり、がと……っ、」


Aは俺の服を控えめに握って泣き出した。


そんなAが、

壊れてしまいそうに儚い声で泣くAが、

またどうしようもなく愛おしくなった。

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