シアワセ【そらる】 (ページ3)

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なんとなくだった、ただ疲れたし早く帰りたくて近道をしようとしていつもは通らない人通りの少ない道を進んでいたらベンチと滑り台だけがあるような辺鄙な公園に女の子がベンチに1人ぽつんと座っていた
何かをする訳でもなくただ空を見ているのか何かを考えているのか上を向いてぼーっとしていた

普段なら多分通り過ぎるのになぜだか気づけばその子に近づいていた
この時間にこんなところに似つかわない女の子。
もう夜も老けって日付を跨ぎ１時にさし掛かろうとした頃の時間帯。そんな時間にこんな女の子が1人、不思議な光景と思うのは仕方がないことだろう。

暗闇に溶けそうなほどの黒い艶やかな髪に髪色とは真反対の真っ白な肌どこか儚くて目を離したら消えてしまいそうで
だからなのか、別にその子がすごく体調が悪そうとか困ってそうとか泣いてるとかそんなことはなかったのに声をかけてしまっていた。

「ねぇ、なにしてるの」

近づいて上からその子を覗き込めばビックリしてるのか俺の目をまじまじと見た。そして小さな口を動かして空を見ていたと言った。
空？今日は曇りなはずだから月も星もそう見えてないはずだと思って空を俺も見上げた。やはり何も見えない

「今日曇りだからなんも見えないけど？」

特に何も考えることなく思ったことを口にすればその子は、あはは、そうですね。なんて薄っぺらい笑いを浮かべながら俺の目線から逃れるように目を逸らした。

その子の印象は、暗闇に溶ける髪と消えてしまいそうな肌、そしてどこを見据えているか分からない深い青い瞳を持ち不健康なほどの細さをしている子。薄っぺらい作り笑いをする不思議で綺麗な子だった。

なんだか昔俺が手を差し伸べた奴と似た雰囲気を纏っていてどこか放っておけなかったのかもしれない。不健康な程やせ細った体に何かを抱えてそうなその瞳に目が離せなくなった。だからだろう、俺はこんなこと普段は言わない。言わないはずなんだ。それに俺はめんどくさいことなんて御免だ。今だって疲れてるんだ早く寝てしまいたい。
でも、なぜか口走っていた。

「そこにいるくらいなら、俺の家でも来る？」

そうして、今俺の家にはその子がいる。
ご丁寧にお邪魔しますと靴を揃えて俺の後ろにつきキョロキョロと周りを見ながら歩く彼女は少し見た目より幼く見える

決して誘拐とかではない。彼女の同意の上だ。
もう一度言う、決して無断で無理やり連れてきた訳では無い