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其の時――
正彦「大和くん!何をやっているんだ!」
怒号が聞こえた。
大和は声の正体を探すように首を振る。――見つけた。
正彦は窓から顔をのぞかせ、マイクを使って此方に怒号をぶつけていた。その顔はあからさまに怒りを抱いており、一触即発になりそうな雰囲気が漂う。
しかし、大和はそんな雰囲気には屈しないのである。なんたって、問題児なのだから。
大和「正彦くんだ。正彦くーん!あまり怒っていると髪が薄くなっちゃうよー!嘘だけど!」
正彦「っいい加減にしないか!」
遂に校長の我慢が切れた。
正彦「大和くん!君には何度言えばわかるのかね!?そこは王神谷中学の自慢の大木であるから其の気を使って首つりをやめろと!第一に君は何という愚行をするんだ!授業中に抜け出す!?君は――……」
正彦の長い長い説教が始まった。
大和はつまらなさそうに欠伸を零すと、隣の直哉に縄を切ってもらっていいかい?とつまらなさそうに言った。
珍しい言葉に直哉は驚いていいのか?と問い返すとなんか気持ちが萎えたのだよと返ってくる。
直哉は常時装備している大和の首つり縄を斬るためだけに買った鋏を取り出した。鋏を動かすと縄が切れる。
大和「んー……!正彦くんってば、説教が長いから嫌いのだよね」腕を伸ばす。
直哉「そうなのか」また無表情で返す直哉に「長くないかい?」と言って立ち上がった。羽織っていた外套についた砂埃を払うように軽く叩く。
すると、何処からか大和さん!と可愛らしい声が聞こえてきた。
菜穂「また自 殺をしようしていたのですねっ!?駄目ですよ!何度言えば判るんですか!?嗚呼、ほら、もう縄の跡がくっきりとついてますよ……!」
菜穂の手にはしっかりと治療道具が握られている。
大和「やあ、菜穂くん。あ、治療の事だけど別にしなくていいよ」
菜穂「じゃあせめて縄後くらい隠して……」
大和「大丈夫大丈夫。自分で包帯まけるからさ」
菜穂は納得に行かないという顔であったが、渋々引き下がる。3年2組はばらばらながらにも少しづつ戻っていった。
大和も戻るか、と立ち上がって教室へと向かいだす。
大和「じゃ、直哉くんまた後で」
直哉「嗚呼」
正彦「っ〜〜!大和くん!聞きなさい!」
正彦の怒号が、虚しくも運動場に響き渡った。
かくして、大和首つり事件は幕を閉じたのだ。
だが、それと引き換えるように大和の問題行動を先頭にのち、様々問題が起き始めるのである。
――
作者名:柊琥珀
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ぽんず(プロフ) - 更新しました! (2021年7月8日 17時) (レス) id: 22afa4f87f (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 更新します! (2021年7月8日 17時) (レス) id: 22afa4f87f (このIDを非表示/違反報告)
ダークライト(プロフ) - 更新しました (2021年2月21日 14時) (レス) id: 7e6182f5bc (このIDを非表示/違反報告)
ダークライト(プロフ) - 更新します (2021年2月21日 13時) (レス) id: 7e6182f5bc (このIDを非表示/違反報告)
白目黒口(プロフ) - 更新しました。宵城様の英文が少し間違っていたので勝手ながら修正させて頂きました。 (2021年1月24日 14時) (レス) id: e62e7575d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:2年3組weirdoes募集企画参加者 x他11人 | 作者ホームページ:無いのです
作成日時:2020年12月16日 19時