第二十二話 泣き虫の底力 ページ22
.
凄いと思いました。
その人は自分が死にそうなのに、"助けて"ではなく"頑張れ"って言いいました。
泣きそうになった。てか泣きました。
私は諦めてるのに。この人は諦めるどころか、逃げてさえいない。
私だったらこんなこと言えない。泣き叫びながら助けを求めちゃう。
『………はい』
ごしごしと涙を拭いてもどんどん溢れてくる。鼻水だって垂れ流しだ。すみませんね泣き虫で。励まされても、応援されても怖いものは怖いですし。そんなに人は直ぐには変われないです。でも、この人がまだ頑張っているのなら私も頑張らないといけないと思った。
刀を強く握って鬼ともう一回向き合う。
勝たなくて良い。せめて応援が来るまで持ち堪えよう。
すると鬼が何か違うと言わんばかりに頸を傾けた。どうせ私の顔が涙と鼻水で汚いと思ってるんでしょ。そんなん自分でわかってるわ!!
『泣き虫の底力見せてあげますよ!!』
________なんてかっこよく言ってみたはいいものの
『いやぁぁぁあ!!きもいきもい怖い怖い!!』
「っああもう!しつこいなぁ…!」
「(何で当たんないんだよっ!)」
鬼の目の前には先程から喚き声を上げながら自分に立ち向かってくる人間。
馬鹿だの阿保だの訳の分からない言葉を発しながら自分の攻撃を避けていく。さっきまで泣いていたのが嘘みたいだ。
「(…何を考えてるんだあの人間!)」
当の本人というと、残念ながら何も考えていない。ただひたすら鬼からの攻撃に対応していた。
『ひいいい!!色んなところからぐわっと来るんだけど!!鳥肌が止まらない!!』
くそっ。さっさと始末して移動しないと。先程殺した筈の鬼殺隊員が応援を呼んだと言っていた。柱が来ると厄介だ。
「さっさと死ね!」
自分の腕を硬化させ、鋼鉄の鎌の様な両腕を人間の真上から思いっきり振り下ろす。速さも威力も先程とは全然違う。真っ向から食らったら確実に立てない。
立てない筈なんだ。
「っはあ!?」
『ぬぐぐぐぐ!』
鬼の視界に入ったのは、自分の強靭な腕を刀で防ぐ人間の姿。そいつは肩は抉れてるし、肋骨だってさっき自分が砕いた。左脚も庇っていたから満足に動かせない筈だ。
なのに何故、そんな力が出せる…!
『ふんがぁぁぁぁぁ!!』
そしてそいつは、僕の攻撃を跳ね返した。
"泣き虫の底力"
(や、やったぁ!!)
(あれ?私いつからごりらになったんだろ)
602人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ババロア(プロフ) - Regulusさん» Regulusさんコメントありがとうございます!更新速度が遅く申し訳ありません。楽しみに待って下さりありがとうございます(*^^*)更新頑張りますね! (2020年3月29日 22時) (レス) id: a1d52bd2f6 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - 続き楽しみに待ってます!更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2020年3月25日 21時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
ババロア(プロフ) - はるさん» はるさんコメントありがとうございます!笑っていただけてとても嬉しいです!更新はばらつきがありますが、見ていただからと嬉しいです!! (2020年3月1日 18時) (レス) id: 1c6ad8268f (このIDを非表示/違反報告)
ババロア(プロフ) - .さん» コメントありがとうございます!!他作も見ていただきありがとうございます!主同士のコラボは中々思いつきませんでした笑 是非やらせていただきたいと思いますので、暫しお待ちくださいませ! (2020年3月1日 18時) (レス) id: 1c6ad8268f (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 読んでいて笑いが止まりません!更新楽しみにしています (2020年3月1日 12時) (レス) id: de479982fc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ババロア | 作成日時:2019年12月16日 15時