テセウスの船 ep.2 ページ3
「テセウスの船？海賊船か何かでしょうか？」
「いや、これは論理的パラドックスの1つでね、『ある船について、修理によって部品が交換されていき、最後には全部の部品が置き換えられたとき、その船は果たして元の船と同じものと言えるのか』という命題だ。」
「え？修理されたとはいえ同じ船なのでは？…あ、でも材料が全部変わってるなら違う船なんですかね…何だか混乱してきました…」
「ふふ、そうだ。この同一性の問題は難問でね、多くの哲学者を悩ませ、多くの解答がなされた問題だ。例えば同一性の定義から解答を試みた例では『数的な同一性』と『質的な同一性』を区別する。この定義によるならテセウスの船は質的には同一であるが数的には異なると言える。これに似た解答としては物事を4次元オブジェクトとして認識するものがある。つまりテセウスの船は3次元オブジェクトに時間という次元がレイヤーのように重なった存在であり、ある時点でのタイムスライスを…」
「ご、ごめんなさい…既についていけないです…」
クラウディアの頭からは今にも煙が出そうだ。
「おや、話が逸れてしまったね。こういう論理的思考は1人で突き詰めるのも楽しいが、共有することで新鮮な意見をもらうという楽しさがあるのさ。…だがそろそろ本題に戻ろうか。」
アイシャは再びカップを持ち上げ口を湿らせた。
「今回の遺跡の謎解きでは、『全く同じ鍵』を用意する必要がある。しかし、ソウルは循環するものだ。ソウルによって形成されたその鍵は今なお同一なものであると言えるだろうか。」
「うーん、先ほど聞いた話だと、明確な答えは無いのでは？」
「その通り。ある意味で認識の相違とも言えるね。解錠しようとする者がその鍵が『全く同じ鍵』であると認識するならば、その鍵は本物の鍵ということになるだろう。」
「な、なるほど。」
「しかし、海賊の話によるとその鍵は回らなかったのだろう？…海賊はその鍵を回すときにその鍵が『本物であるはずだ』と認識して回したはずだ。」
「確かに…！」
「それでも鍵が回らないというのであれば、その封印は解錠者の認識を読み取っている訳ではなさそうだ。」
「つまり…？」
クラウディアは身を乗り出して答えを待つ。
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ブルードラゴン(プロフ) - はっ、つい願望が…でも筆者は日常生活でアイシャさんならどう考えるかなっていうことはよく考えたりします。今回の「テセウスの船」は（「緋色の理論」もそうですが）そんな願望を形にしたものになっております〜 (2021年11月21日 2時) (
レス) id: 6a15ead48d (このIDを非表示/違反報告)
ブルードラゴン(プロフ) - 今回追加した「テセウスの船」は有名なパラドックスをテーマにしたお話です。やっぱりアイシャさんにはこういう難しい問題を考えて欲しいと思いまして…っていうか私もアイシャさんと議論してみたい！難しいことを優しく教えて欲しい…（遺言） (2021年11月21日 2時) (レス) id: 6a15ead48d (このIDを非表示/違反報告)
ブルードラゴン(プロフ) - どうも、ブルードラゴンです！ふと思い立ったのでここを短編集にすることにしました！不定期に更新するので気長に待って下さると幸いです！ (2021年11月21日 2時) (レス) id: 6a15ead48d (このIDを非表示/違反報告)
ブルードラゴン(プロフ) - 内容についてなんですが、おみくじの吉兆の順番は諸説あるので参考程度にお読み下さい（）ところでアイシャさんが引いたおみくじの結果はどうだったんでしょうか？最後の1文から分かるかも知れませんね (2021年10月30日 1時) (レス) id: ec89326c97 (このIDを非表示/違反報告)
ブルードラゴン(プロフ) - どうも、ブルードラゴンです！今回はアイシャとシロクロのお話を書いてみました！…いや、実はこれ今年の正月に別のところで書いたSSをこっちでもあげようかと思って持ってきたやつなんです…季節感ないけどごめんなさい… (2021年10月30日 1時) (レス) id: ec89326c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ブルードラゴン | 作成日時：2021年10月30日 1時
