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今のはなんだ
きっかけなどなく
ふと思い出した
大事な記憶
産まれた時から何があっても必ず守ると決めた
大事な娘
妻は元々身体が弱く、妊娠しても出産時にどちらも生きていられるかわからないと言われていた
２人でたくさん、たくさん話し合い決めた
子どもがどうしても欲しいと、自分の手で自身の子を抱きしめたい
泣きながら、それでも瞳の奥の想いは揺るぎなく強く主張する
最後はそんな妻に諦めようなんて言えなかった
妻のかかりつけの医師にも立ち会ってもらい
無事、元気な子どもが産まれた
妻もやりきったと嬉しそうに産まれたばかりの我が子を抱きしめた
幸せだった
娘が12歳になった頃
妻が事故で亡くなった
元々の身体の弱さとは関係ない
道路に飛び出した子どもを助けるため車に轢かれたと聞いた
俺が妻の元に着いた時にはもう目を開くことはなく
別れの言葉も感謝も愛してるも伝えられなかった
人は呆気なく亡くなってしまう
懸念していたこととは違う原因で
それからは娘と二人での生活が始まった
妻の分もたくさん愛そうと出来るだけの、あげられるだけの愛を捧げてきたつもりだった
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作者名：shiro | 作成日時：2022年12月2日 4時
