白い30日間 (ページ5)

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朝からラーメンページ5

1ヶ月か…長いようで短いような。
「じゃあその1ヶ月位は俺につきっきりってわけか。お世話になります。」
「いえいえ。押しかけ女房的立ち位置ですがこちらこそよろしくお願いします」

だからそのワードセンスよ。
どこから覚えてきたんだそんなの。令和のこの時代にも中々言わないぞ。
ひょうきんなんだか大真面目なのかわからない天使に一礼をし、窓を閉める。

さて、折角の休日だしラーメン食ってゲームでもするか。
その前にまず着替えか、何着ようかな。
クローゼットの中から適当に見繕い、一応着替えることを天使に伝えると早々とドアの向こうに行ってしまった。

「まさに光の速さ…」

黒のパーカーとジーンズに着替え、ジャンバーを羽織る。
ラーメンのことを思うと腹が鳴って仕方ない、早く食いてえ。

「お待たせ」
「早いですね」
「貴方ほどじゃないよ」
「？」
「こっちの話し」

はは、と笑えば教えてくださいよーとしーちゃん。
それをスルーしながら会話を続ける。

「今からラーメン食いにいくから」
「えっ今からですか？開いてるんです？朝からラーメンってキツそうですけど大丈夫なんですか？」
矢継ぎ早に質問してくる天使。
「近くに朝早くから開いてるラーメン屋さんあるからそこで食うの。それに、朝のラーメンは最高だよ」

答えるとへえ、と感嘆している。
聞けば、知識としてここの世界のことはちらほら知っているが実際みたことはないらしい。勿論ラーメンなんて食べたことはないみたいだ。

「んじゃまあ、行きますか。多分だけど、他の人にはしーちゃんの姿見えないんでしょ？」
「そういうことですね！理解が早くて助かります！はい行きましょう！おー！」

ラーメン屋に入れるとわかったしーちゃんはみるからにテンションが高い。
光だからすり抜けてラーメン屋見学でもなんでもできるんじゃないかと聞いたが、それだと意味がないらしい。
曰く、干渉は限られた事象にしか適用されない。匂いも物の感触もない、食べることもできない。それ故に見知った人と入った方が楽しいと。

なんでもないように淡々と話すしーちゃんに少し寂しさを感じた。
見知った人っつーか、俺としか思い出共有できないってことだもんな。
…仕事でこっちに来てるんだから楽しみくらいあげたらいいのに、しーちゃんの上司もさ。
どの世の中も融通っていうのは通りづらいみたいだ。

一呼吸置き、行きますかと拳をあげる動作をすると、おー！と元気よく返事が返ってきた。