【敵連合】私は敵連合の… (ページ35)

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34話ページ35

いつもは熱中症なんかならないのに、今日クソ親父が朝に母さんのことを卑下したような話をしてきた。いつものことなのに、今日が特別暑いせいかイライラしていて自分の体調管理が疎かになっていた。

学校の帰り道の公園を横切って歩いていると、炎天下のせいで視界が歪んだ。いつの間にか俺の視点はとても低くなっていて、誰かが近くに駆けてきた。

「大丈夫ですか！？」

起き上がらされたが、思うように体が動かなくて返事もできない、視界が暗くなる…。

突然頭も体が軽くなった。もしかして病院か？

「あっ目が覚めましたか？」

目を開けると上に人の顔、さっき駆け寄ってきた人の声だ。そういえば頭を枕に乗せてるのかと思うくらい柔らかい。もしかして…バッと上半身を起き上がらせると、膝に既に溶けたチューブ型のアイスが落ちた。公園のベンチの上で後ろを振り返るとさっきの人少し驚いた顔をして座っている。この状況は恐らく膝枕をされていたのだろう、倒れた俺のために。とりあえず体制を正し、その人の横に座った。

「あの、すみません」
「いやっ目の前で倒れて他に人も居なかったので！熱中症って水分補給が大事らしいですよ」

その人は水のペットボトルを渡してきた。とりあえず心配する表情をする女の子から貰った水を飲まない訳にはいかないので、ぐいと勢いで半分飲み干した。彼女は同い年くらいに見えた。

「本当にこんなにしてもらって…」
「個性使って治しただし、それに倒れた人放って帰れませんしね！」

彼女の笑顔はとても眩しかった。だが、介抱してもらった上に、年頃の女性に膝を貸してもらって何も返さないのは男という以前に人として申し訳なくなった。

「ありがとう…ございます。あの、なんかお礼をしたいんですが…」
「そうですね…ちなみにそこにある溶けたアイス、貴方を助けた時に氷嚢代わりにしたんですよ。なので、同じアイスを買って頂ければ嬉しいかな～なんて！」
「それだけなんて」
「私は堅苦しいのが嫌いなのでこれ以上の物は受け取りません！あと、敬語も嫌です！ふふっ」
「謙虚だな…」

笑顔でビシッと人差し指を向けながら言われて思っていたことが声に出た。