[暗殺教室] 眠れる君へ。[赤羽業] (ページ14)

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fortyeight ページ14

「……おはよ、カルマ君」

あぁ、本物だ。
なんて馬鹿みたいなことを考えながら、
ずっと眠っていたカルマ君におはようを告げた。

黄色い瞳が僕の顔を捉えようと必死に揺れ動いている。
きっと焦点を合わせるのが難しいのだろう。

ぱちぱちと瞬きを繰り返す綺麗な瞳に映る僕の顔は、
正直見れたものじゃない。

自分でも知らないうちに溢れた涙で頬は濡れていて

ぐしゃぐしゃに乱れた顔は自嘲してしまうほど酷かった。

「な…ぎさ、くん、」

それでも彼が追い打ちをかけるように僕の名前を呼ぶものだから

涙は止まることを許さない。

かるまくん、かるまくん

と、先程の返信をするかのように彼の名前を呼ぶ。

「ふふ、なぎ、さ、くん」

名前を呼びかけたときに返事が返ってくるというのは、
なんて素敵なことなのだろう。

「もう、カルマ君のばか、僕を置いて勝手にどっか行かないでよ」

細くなった体にぎゅっと抱きつくと、カルマ君は笑っていた。

それは今までに見た笑顔の中で一番美しい笑みだったと思う。

「次、勝手にどっか行っちゃったら許さないからね、」

ぐすぐすと泣きながら抱きしめる力をより一層強くすると、

ごめんねと辿々しい口調で謝られた。

僕が欲しいのは謝罪なんかじゃなくて

カルマ君の「ただいま」って声なんだよ。

僕がそう言うと、カルマ君は照れくさそうに笑って

聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で

「ただいま」と零したのだ。