温もりに変わる言葉など【NEWS】

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慶ちゃんを困らせたいわけじゃなかった。


けれど俺が放った一言で、

慶ちゃんも、慶ちゃん以外の皆も困惑の表情を浮かべた。


「……ほんとにごめん…。
さっきの言葉、気にしないでいいよ」


そんな顔して欲しくなかったのに。

シゲに謝ってほしくて言ったわけじゃなかったのに。


どうやったって俺はみんなを悲しませることや苦しめることしかできないのだ。



「ばか手越、」

「…慶ちゃん？」


「言いたいこと言っていいんだよ、っ俺らが受けとめるから」



ぐしゃぐしゃな顔で涙を流しながら笑う慶ちゃんの顔がだんだん滲んでいく。

瞳を埋め尽くす水がそろそろ零れてしまいそうだった。


零さまいと手のひらで顔を擦っても、隙間から漏れてくる瑞は布団に染みを作る。



「はは、手越泣いてる」



頬をむにむにとつつきながらシゲが笑った。

懐かしい手に触れられて、また涙が出る。


「俺らはちゃんと待ってるから」

「まっすー……」


でも今は無理せず休むこと。とデコピンをされてしまえば何も言う術がない。



「リハビリも、治すためにって頑張りすぎなくていいから。
きつくなったら言うんだよ」


「わかった。ありがと、お母さん」

「誰がお母さんだ」


そう言いつつ慶ちゃんの目は何よりも優しかったから、

俺はみんなに愛されていることを改めて感じた。



何度も躓いて来た。

でもその度起き上がることが出来た。



だから今度もちゃんと起き上がることが出来るだろうと、


少しだけ前を向くことができた。



───少しだけ。

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