【urt】dreamin’ Halloween Night【usss】 (ページ13)

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「あのときの、お兄さん、」

記憶が一気に引き出されて、横にいる彼を見つめた。

私が思い出したのを見て、うらたさんは笑みを深めた。
柔らかく、どこか甘い視線を感じて、どきどきと鼓動が速くなる。

彼が、ゆっくりと口を開いた。

「俺も最初は気づかなかった。でも、Aって名前に覚えはあったし、最初からやまだが見えていたみたいだし。」

うらたさんだけでなく、やまだちゃんも他の人には見えないものなのか。
初日に大事に抱いて連れて帰ったけど、周りからはどう見えていたんだろう。

私の余計な心配を他所に、うらたさんは変わらず甘い視線をこちらへ向けている。

「すっかり、…綺麗になって、さ」

自然な動きで頬をするりと撫でられ、愛おしそうに見つめ返されたら、何も言えずに顔がどんどん熱くなる。

「また会えたのも、…運命、なのかも、な」

彼が、熱に浮かされたように呟いた。

私も同じように、ハロウィンという雰囲気に浮かされているのかもしれない。

ゆっくりと頷いた。

見つめ合うだけで、お互いがお互いの事を特別だって思ってる事が分かった。

会ってから数日しか経っていないのに、不思議。

でも、十数年前には会っていたわけだし…ホントに、運命、なのかも。

ハロウィンも、あと数時間で終わる。

うらたさんが、愛おしげな表情を浮かべて言った。

「また来年のハロウィンに、逢いに来てもいいか？」

ああ、やっぱり。うらたさんは“帰る”みたいだ。

「…来年じゃなきゃ、会えないの…？」

思わず本音が溢れる。

私の顔を、うらたさんが苦笑しながらまた撫でた。その手つきは、とっても優しい。

「んな寂しそうな顔、すんなって。たった一年だろ」

きっと、寿命が人間より何倍も何十倍も長い彼ら的には、たった一年、なんだな。

改めて、私と彼の種族の違いを突きつけられる。

「俺たちはハロウィンが終わったら帰んなきゃなんねーの」

確かに、昔会ったお兄さん(うらたさん)も、「あとちょっとで帰んなきゃなんねーってのに…」と言いながらも私と家族を探してくれて、会えた途端、何処かへ消えてしまっていた。