【短編集】Lovers in Halloween【u/s/s/s】

ver.red ページ7

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『さあ、じゃあつぎは、このお菓子のとんがり帽子を、さっきご飯で作ったおばけかぼちゃさんの上に載せましょう！』

ワイワイと賑やかな料理教室の部屋の中で、マイクを通してそう言うと、今日の生徒さんたちである十数組の親子が、さらに賑やかに自分たちのお皿に飾り付けを始めた。



今日は、私が講師として勤める料理教室で、「ハロウィン親子クッキング教室」が開かれていた。

毎年行われているこの１日だけのイベントだけど、今年は初めて私が講師を務めることになり、相当な準備をして挑んでいる。


そろそろ仕上げの段階になり、どの親子も楽しそうに料理してくれている所を見ると、頑張って準備して良かったなあと嬉しくなる。

残りの仕上げも済んで、無事に、“おばけかぼちゃのハロウィンカレー”と“魔女のぶどうゼリー”が完成した。



試食の時間になり、皆さんが食べるテーブルの間を回りながら、今日の感想を聞いたりしていた。

「どうでしたか？」

「楽しかったです！この子も珍しく集中してたし…楽しかったね？」

「うん！またおうちでつくりたい！」

概ね好評で、ほっと胸を撫で下ろしながらテーブルを回った。


＊


片付けまで済んで、お開きの時間。
教室の出口で一組ずつお見送りした。

「Aせんせい！」

最後の一組だった親子の、小学校低学年くらいの女の子が、私に何かを差し出した。

「きょう、がっこうでつくったの、Aせんせいにあげる！きょうのおれい！」

見ると、おばけかぼちゃの形に折られたオレンジ色の折り紙だった。

「わあ、とっても上手だね！ありがとう！」

大切に受け取ると、親子は満足そうに帰っていった。


＊


「お疲れ様、A、頑張ったね」

後片付けをして、最後の教室の掃除まで手伝ってくれた同僚が、最後に声を掛けてくれた。


「ありがとー、普段と違うから緊張したよ〜」

へらりと苦笑いで返すと、彼女が言う。


「そんなAの疲れを癒してくれそうな人が来てるよ」


「…へ？」


同僚の言ってる意味が分からず、素っ頓狂な返事をする。
この料理教室は、ショッピングモール内にあることもあって、通路に面している壁はほぼガラス張りだ。
彼女が指差している出入り口付近のガラスへ目をやると…


「あれ、彼氏でしょ」


「さ…！」


名前を言いそうになって慌てて口をつぐんだけど、確かに私の彼氏がそこにいた。




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