Snow Dome 2（雑多短編集） (ページ9)

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あたりまえのしあわせ（if）ページ9

深澤辰哉(30):カフェの店長。シェアハウスのオーナー。

目黒蓮(25):カフェの店員。フリーター。

ラウール(19):カフェ店員。語学系大学の1年生。

※生きて帰れなかった世界線

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目黒side

深澤「ごめん、急だけどちょっと出なきゃいけなくなっちゃって。今誰もいないタイミングだし閉めちゃうね。ドアにこれ貼っといてくれる？レジは…っと、目黒のチェックと、ラウが帰ってき次第ダブルチェックで締めて」

看板をcloseにひっくり返して、入り口の鍵を閉めつつ矢継ぎ早に指示を出すふっかさん。

ばたばたとそのまま家を出ていってしまった。

ドアに貼っておいて、と言われた紙には

【急遽本日はお店を閉めます。少しの間、もしかしたらお休みをいただくかもしれません。また再開した際にはよろしくお願いします。店長深澤辰哉】

と、急いで書いたのがわかる文字で書かれていた。

しばらく、休むかも？

何も聞いていない俺でも何かあったのがわかる。

とりあえずそれを貼ろうと外に出ると、常連の方が1人、ちょうど来たところだった。

「あら、今日はお休みなのねぇ」

目黒「すみません、こういう事情で…詳しくは俺も聞いてないんですけど…」

貼る前の紙を見せると、少し悲しそうな顔をする。

「あら…阿部くんに何かあったのかしら」

目黒「…阿部くん？」

「目黒くんが来る前からこのカフェにいた子なんだけどね、入退院を繰り返してて…」

目黒「そう、なんですね」

「何事もなく再開できることを祈ってるわ。深澤くんにも、無理はダメよって伝えておいて」

目黒「…はい、ありがとうございます」

そう言って、大通りの方に歩いていったお客さん。

張り紙を貼って、裏口から中に戻る。

その日は結局、ふっかさんは戻って来なくて。

ラウ「阿部くん、ってもしかしてめめの向かいの部屋の人かな」

目黒「たぶん…俺が来るより前にいたって言ってて」

ラウ「ってことは、2年以上前ってことか…ふっかさん聞いても何も教えてくれなかったしね」

なんとなく暗い雰囲気の家で2人で過ごす。

順番にお風呂に入って、ふっかさんから連絡が来るかもって少し遅くまで起きてたけど結局来なくて。

そして次の日の朝、大学に向かうラウを見送って家の掃除をしたりしていると、震えたスマホのディスプレイが光って、ふっかさんからの着信を知らせた。