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阿部side
阿部「ありがとうございました。また、きてください」
「ありがとね〜」
常連さんを見送ってカフェを見渡すと、目黒とおしゃべりしてる常連さん1人と、奥で新聞を読んでる常連さんが1人。
退院から2ヶ月、やっと落ち着いてくれた俺の身体はなんとか日常生活を問題なく送れていて、毎晩付けていた酸素も要らなくなった。
そして数日前から、座っている約束でレジを任せてもらっている。
ラウ「阿部ちゃん休憩の時間だよ〜」
阿部「えぇ、もう？」
ラウ「意外と結構時間経ってるよ、ちょうど真ん中の時間だから」
目黒もラウも、俺の身体を気遣ってくれつつそれが気にならないくらいのフランクさで接してくれるから、最初は不安だったけどこの家に帰ってきてよかったって、帰れてよかったってしみじみ思ってる。
目黒「阿部ちゃんなんか飲む？」
阿部「あったかいアーモンドラテ飲む」
目黒「はいはい、いつものやつね」
優しく笑う目黒はテキパキと俺のリクエスト通りにアーモンドラテを作ってくれる。
最初はあんまり出ないメニューだからって作り方の紙と格闘してたけど、俺が毎回これが飲みたいっていうからもう慣れたみたい。
「あら、アーモンドラテって美味しいの？」
阿部「美味しいですよ〜気が向いたら、ぜひ。目黒が作ってくれるんで」
「こんど頼んでみようかしら」
目黒「任せてください」
さっきまで目黒とおしゃべりしてた常連さんは、このカフェができた頃からの常連さんで、絶対ブラックコーヒーしか頼まない人なのに。
珍しいな〜と思っていると、目が合ってしまった。
「私、絶対コーヒーが入ったものは絶対ブラック派だったんだけどね、もう先も長くないから、だったらいろんな味を知るのも楽しいかもって思って最近色々手を出すようになったのよ〜」
阿部「そうなんですね。一応メニューにあるものがベースになりますけど、深澤がいるときなら無いものでも作れるものがあれば作ってくれるので気軽に声かけてくださいね」
「そうなのね、ありがとう。こんど相談してみるわ」
ふふっと微笑むお客さんの楽しそうな雰囲気は、俺の心を暖めてくれる。
目黒「はい、阿部ちゃん。上あがるなら持っていくけどどうする？」
阿部「本持ってきてるから適当に座るよ。ありがとう」
席側に回ってレジの真横の席に座ると、目黒が目の前にカップを置いてくれる。
一口飲むと、じんわりあったかいものが身体を通っていく感覚がして、思わず笑顔になった。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月17日 21時
