6 ページ6
深澤side
深澤「阿部ちゃん、ねむい？」
阿部「…ううん、だいじょうぶ」
阿部ちゃんの眠い、は普通の人の居眠りとは違う。
酸素があんまり身体に回ってないことがあるから、少し危ない。
ご飯の準備が終わって、さぁ机に並べようと思ったあたりから、椅子に座っている阿部ちゃんの上半身は危なっかしく揺れていて、横のラウールが心配そうにそっと支えてくれている。
深澤「阿部ちゃん、ちょっとソファーに横になろう。立てる？」
阿部「…うん」
ぽやっと瞼が重たそうな阿部ちゃんは、どう考えても自分の足に力が入っていなくて。
ラウ「ちょっと揺れますよ」
ラウールが抱き抱える様にしてソファーに運んでくれた。
俺はその間に、阿部ちゃんの部屋から必要なものを取ってきて、ソファーの周りに準備をする。
阿部ちゃんの部屋に入ったことがない2人は、見慣れない機械におっかなびっくりこっちの様子を見ていた。
深澤「ちょっと指のやつ挟むからね」
指先に挟んで体の中の酸素の量を測るやつ。
示された数値は、やっぱりあんまり良くなくて。
持ってきた酸素カニューレを阿部ちゃんの鼻の下に通して頬の辺りにテープで固定する。
あとは指先の機械を見て、数値が回復すれば問題ない。
深澤「苦しいとかない？」
阿部「…だいじょぶ」
やっぱりぼんやりしている阿部ちゃんは、頭が回っていないのか、返事もゆっくり。
深澤「ん…大丈夫。いっぱい病院で頑張ったんだもんね？」
阿部「…うん」
阿部ちゃんの少し冷えた手を、暖めるように握る。
生まれてから小学校3年生までと、4年生の半ばから中学卒業まで、高校3年からまた数年。
これは、阿部ちゃんが入院してた期間。
こんだけ頑張っても頑張っても、神様は阿部ちゃんに試練を与え続ける。
目黒「毛布、いりますか？」
深澤「うぉ、いつのまに…ありがと、かけてくれる？」
抱き抱える様に毛布を持っていた目黒。
そっと阿部ちゃんにかけてあげると、少し表情が緩んだ気がした。
阿部「ふふ、あったかい」
目黒「よかったです」
また、少しうとうとしてきた阿部ちゃんにドキドキしたけど、だんだんと数値は上がってきて、眠りにつく頃には正常値に戻っていた。
深澤「しばらく様子見かな。とりあえず今は落ち着いたから大丈夫。ご飯冷めちゃったね、ごめんね」
ラウ「いえ、全然。俺あっため直してきますよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 504人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みお | 作成日時：2023年2月17日 21時
