感じる世界が違っても。 ページ42
※同性愛(めめあべ)
阿部亮平:視覚障害
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蓮side
ゆさゆさと控えめに身体をゆすられて、ぼんやりと意識が浮上した。
自分の寝起きの悪さは流石に自覚していて、どうにかしたいとは思っていてもなかなかうまくいかない。
亮平「ねぇ、遅刻するよ」
蓮「…ん」
亮平「もー、」
呆れた声の亮平が俺から掛け布団を剥がす。
ここまできたら『もう起こしませんよ』の意思表示だから、なんとか身体を起こした。
亮平「った、」
蓮「亮平!?大丈夫?」
亮平「だいじょーぶ…ドアを変な角度で開けっぱなしにしちゃったみたい」
ゴンっとすごい音で覚醒した頭で、亮平の打ったらしいおでこを見るけど、少し赤くなってる程度。
なんとなく珍しいな、と思ったけど。朝だしそういう日もあるか。
それでも頭だし冷やしておくかと思って保冷剤をタオルで巻いて椅子に座る亮平に手渡した。
亮平「いいのに…ありがと、っん」
蓮「へへ、朝ごはん並べるね」
両手でおでこの保冷剤を抑える亮平の無防備になった唇に触れるだけのキスを落とすと、わかりやすく動揺して保冷剤を落とす。かわいい。
蓮「食パンなに塗る?」
亮平「…いちご」
蓮「はーい」
ちょっと拗ね気味の亮平の食パンにはいちごジャムを塗って、自分のにはブルーベリーを塗って。
最近導入したコーヒーメーカーからそれぞれのマグカップにコーヒーを入れてテーブルに持っていく。
蓮「正面にパンね、右奥にコーヒーあるけど熱いから気をつけて」
亮平「ん、ありがとう」
テーブルの上のものに触れて位置を確認したあと、左側に保冷剤を置いてマグカップを手に取る。
亮平は猫舌だからいつもみたいに飲み口の部分に指で触れてコップの熱さを確認して、元の場所に戻した。
のんびりと朝ごはんを食べた後、それぞれ食器をシンクに戻して、亮平がスポンジを手に取り洗剤で泡立てる。
準備は俺、洗い物は亮平。なんとなく決まったルーティンで、その間に俺は身支度を整えに洗面所に向かった。
なおらない寝癖と格闘していると、「ガシャン」と嫌な音。
キッチンにかけ戻ると割れたお皿に亮平が手を伸ばしていて、思わず大きな声で名前を呼んだ。
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作者名:みお | 作成日時:2023年2月17日 21時