Snow Dome 2（雑多短編集） (ページ41)

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向井side

阿部「っ、ごめな、さ、」

渡辺「だいじょぶだいじょぶ。阿部ちゃん、翔太だよ」

阿部「っは、や、」

ごめんなさい、ごめんなさいって。

たぶんパニックになってる阿部ちゃんはずるずると座ってたソファから崩れるように床におちて、それをしょっぴーが必死で抱き止めてて。

だてさんが危なそうな机の上のものとかをどかしているのをみて、俺も必死でそれに加勢した。

あべちゃんはこの中では背が高いけど華奢で力もあまりないのかいつのまにかしょっぴーの腕の中におさまって、止めどなく流れる涙を拭うこともなくどこか遠くを見てる。

阿部「っは、はぁ…」

渡辺「よしよし、大丈夫。翔太だよ、わかる？」

もう抑えなくてもいいと判断したのか、手を緩めて近くのタオルで優しく顔を拭いてあげるしょっぴーがこの中で1番落ち着いてたと思う。

宮舘「…あぁ、びっくりしたね。一旦上あがろうか。康二は…」

向井「おれここいるよ。なんかいるもんあるかも知らんし」

宮舘「わかった、ありがとう。何かあったら電話して」

俺だってかなり焦ったのに、まだ若いラウールには衝撃が強かったんやろうな。

動けなくなっちゃってて、だてさんが宥めながら階段を上がってった。

渡辺「阿部ちゃん、こっち見て…よかった、わかるね」

虚な目をしていた阿部ちゃんも焦点が合ってきて、少しずつだけど落ち着きそうな方向に向かってってる。

何度も呼びかけていたしょっぴーも安心したのか少し肩の力が抜けたようにみえた。

向井「しょっぴー、おれ何かもってこようか」

渡辺「えっと…水、ペットボトルのままでいいからストロー刺したやつ欲しい。あと、阿部ちゃんの部屋に毛布あると思うからそれと、タオル2枚くらい」

向井「ん、わかった」

階段を駆け上がって、通りかかったキッチンにいただてさんがラウに飲み物を出すついでに水をすでに用意していてくれて。ストローまで準備されていたのをみて普通に二度見した。

誰もいないのはわかってるけど一応ノックをして阿部ちゃんの部屋にお邪魔する。

綺麗に畳まれた毛布が布団の上にあって、1番近くのクリアケースにタオルも見えたから2枚適当にとって。

部屋を出ようと振り返ってギョッとした。

机の上に広がった無数の紙には、黒いペンで目的もなさそうな何かが描かれて広がっていた。

向井「阿部ちゃん…なにがあったん、ほんまに」

呟いても仕方がない。抱えるように持っていた毛布を握り直して、階段を駆け降りた。