Snow Dome 2（雑多短編集） (ページ38)

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慣習に縛られてページ38

参考リクエスト:ぽー

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阿部亮平:メイン業務は事務。ラウールの指導係。

宮舘涼太:この事務所の統括。幼馴染で同じ施設出身の渡辺と共同で立ち上げを行った。

渡辺翔太:主に営業や表周りを管轄。

向井康二:阿部の初めての後輩。渡辺と共に営業に回ることが多い。

ラウール:専門学校出たての新入社員。事務作業について勉強中。

(ついて周る過去:other story)

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阿部side

ひゅっ、という嫌な呼吸音を抑えるように口元にタオルを押し付ける。

なんとか自力で呼吸を落ち着かせてタオルを口元から離すと、はらりとタオルは床に落ちていった。

時計を見ると、朝の5時。

目を閉じるとさっきまでの夢の続きを見てしまいそうで、眠る気にはなれなかった。

いつからか枕の横にタオルをおいて、リビングまで行かなくても水が飲めるようにペットボトルをベッドのすぐ近くに置くようになった。

何が原因か、と言われるとわからないけど。

最近頻繁に、学生時代に机に向かっていた頃のことを思い出したり、夢に見るようになった。

水をのむ、トイレに行く。それだけでも立ち上がれば母親から“怠けるな”という罵声を浴びた。

朝の5時。

これは学生時代に目覚ましをかけていた時間で、この時間に起きて朝ごはんまで勉強をしていた。

身体が覚えているのか、決まって目が覚めるのはこの時間。

横になっているのも落ち着かなくて、意味もなく机に向かう。

ペンを握ってぐるぐると意味のない何かを書くために手を動かして、やっと不安がとれるような気がした。

仕事は、前に怒られたから。同じ失敗はしない。

この家で1番早く起きるのは、だてさんの6:30。かすかにする人の気配を感じたら、俺も着替える。

あまり熟睡できていないような気がするけど、机に向かえば逆にしっかり目が覚めて仕事ができるから困ってない。

逆に、家に戻って夕食までの時間に気づいたらソファに沈んでいる。なんてことが増えたけど。

本当はそんな姿をみんなに晒したくないから部屋に戻りたいんだけど、戻ったが最後その日のうちに目が覚める自信がなくて。

今日もパジャマから適当な服に着替えて部屋を出る。

どうせ仕事の時はまた着替えるし。流石にスーツではないけど、仕事モードのシャキッとしたやつ。

宮舘「…阿部、おはよ」

阿部「おはよう、だてさん」

洗面所ですれ違っただてさんはすでに身支度を整えていて、流石だなと思いながら冷たい水で顔を濡らした。