2 ページ37
康二side
亮平「ねぇ〜だめ?ちょっとだけ!」
康二「ごめんなぁ、先生がお庭はダメだって。屋上なら少しの時間いいよって」
亮平「お花が見たいの!」
最近調子の悪い日が続いていた亮平くんはここ2日間やっと調子が良くて。昨日は蓮くんと折り紙とか少し算数のワークをしたりしてたんやけどな、今日は外に出たいって。
屋上なら人も少ないし、入院患者が殆どだからいいよって先生に言われてるんやけど。
お庭はちょっと予防接種にきた子どもとかお見舞いに飽きちゃった元気な子が多いから免疫が弱い亮平くんには少し危ない。
それをわかってる蓮くんも、隣で困った顔をしていた。
蓮「屋上なら綺麗に雲が見えるかもよ。この間の天気の図鑑持って行ってみる?」
亮平「ん〜…」
蓮「そうだ。お庭のお花の写真は明日来る時に俺が写真に撮ってこようか?」
亮平「…じゃあ屋上いく」
蓮くんナイス!と思いながら亮平くんに上着を着せて、お約束の確認。
康二「じゃあ分かってると思うけどお約束の確認な。まず走らないこと。マスクを取らないこと。ちょっと変だなって思うことがあったらすぐに蓮くんに言うこと。いい?」
亮平「はぁい…」
分かってるよ、と言いたげな亮平くんには蓮くんも苦笑い。
30分で戻ってきてな、と蓮くんに伝えて。2人分の水と万が一のための薬を入れた鞄を渡した。
こんなに甲斐甲斐しく兄弟の面倒を見てくれる高校生なんてほとんどいないから、自分の時間も大切にして欲しいんやけど。
調子のいい亮平くんをみるのは蓮くんも嬉しいみたいで、宥めながらマスクをつけさせて、手を繋いでエレベーターを上がっていった。
そしてきっちり30分で戻ってきた2人をステーションで回収して、手を洗ったりアルコールで消毒をしたり。
病室に連れて戻ると、蓮くんのスマホで撮った雲の写真と図鑑を見比べて、楽しそうに色々教えてくれた。
亮平「りょうね、お天気のおにいさんになりたいんだ」
図鑑がたくさん並んだ亮平くんの本棚の中でも1番のお気に入りである天気に関する図鑑は開きすぎてぼろぼろ、ページも落ちそう。
蓮「亮平ならなれるよ。お勉強も頑張ってるし、お空をみるの好きだもんね」
優しい顔で亮平くんの頭を撫でる蓮くんは本当に、柔らかい目をしていて。
あぁ、本当に亮平くんのことが好きでここに来てるんやなって。
約束通り、次の日はお庭の花の写真をたくさん撮ってきてくれて。病室からはまた楽しそうな声が聞こえてきた。
504人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みお | 作成日時:2023年2月17日 21時