Snow Dome 2（雑多短編集） (ページ36)

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なかよしこよしページ36

参考リクエスト:り

向井康二:看護師。亮平のケアを担当することが多い。

蓮:亮平の兄。高校1年生。

亮平:小学4年生の歳。長期入院中。

———

蓮side

顔を真っ赤にして苦しそうな呼吸を繰り返す弟の手を、俺は握ることしかできない。

生まれつきの心疾患がある弟の亮平は、生まれてから殆どの時間を病院で過ごしている。

それに加えて免疫機能とか、なんかいわゆる虚弱体質らしく元気な日の方が少なく感じる、かも。

亮平「っ、ん…にぃちゃ…」

蓮「あ、起きた…亮平おはよ」

亮平「ん…」

蓮「お熱しんどいね」

学校が終わったらここに来るのが日課の俺は何度も辛そうな亮平を見てきたけど、いつ見ても俺まで苦しくなる。

殆ど皆勤賞で学校に行ってる俺と変わってあげたいと何度も思ってきた。

汗で張り付いた前髪を避けて、タオルで顔と首周りを拭いてあげると眉間に寄っていたシワが少し和らいだ気がした。

康二「あ、亮平くん起きた？」

蓮「あ、こーじ」

康二「もー、せめて康二くんって呼んでや。どんだけ年上やと思ってんねん」

蓮「はーい、こーじくーん」

なんか文句を言ってる康二の手元をみて、「ちょっとコンビニ行ってくる」なんて言って病室を出た。

こうやって大きく調子を崩していたり強い薬を使っている期間は、1人じゃ起き上がれないのと身体の感覚が鈍くなるらしくて。

直接は見えないようにタオルとかの下に入ってたけど、亮平は俺に見られるのは嫌かなと思っていつも空気を読んで病室を出る。

そして10分くらい院内をふらふらして病室に戻れば、心なしか穏やかな表情になった亮平と目があった。

康二「りょうちゃんまた様子見にくるな。しんどくなったら蓮くんに言うかコール押すんやで」

亮平「はぁい…」

丁度亮平が小学校に上がる年に関西から来た康二は、ずっと亮平の担当をしてくれていて、亮平もよく懐いてる。

あまり同い年の子との交流もできない亮平を気遣って、よく遊んでくれるんだって。

亮平「ねぇ」

蓮「ん？」

亮平「りょうね、ななのだん言えるようになったよ」

蓮「え！すごいじゃん。これで全部の段言えるようになったね」

亮平「へへ…おにいちゃんは、いえる？」

蓮「え？え〜言える。たぶん」

ちょっと自信がないのがバレたのか、一緒に覚えよ、なんてお誘いを受ける。

調子の悪い日の方が多い亮平は中々勉強も進まないみたいだけど本人は楽しいみたいで、ゆっくりながらも色々なことを学んでは俺に教えてくれるんだ。