宛先 ページ32
岩本照:阿部と同期の公立中学校教諭。
深澤辰哉:岩本の高校の先輩。
阿部亮平:公立中学校教諭。
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岩本side
たぶん、職員室の寒いくらいの冷房の効きと外の気温差で少しずつ身体がおかしくなっていったんだと思う。
ちょっと気持ち悪いかも、と隣のデスクの阿部先生が言い出した時にはかなり顔色が悪かった。
外から帰ってきたばかりなのに汗もかいていないし、カーディガンまで羽織っていて、もしかしなくても、熱中症。
岩本「一旦保健室いこう、放課後だから生徒も少ないし、一旦横になった方がいい。水分は？取ってた？」
阿部「気づいたら飲むようにしてた、けど、あんまり喉渇かなくて」
岩本「わかった。とりあえず立てそう？」
あいにく、学校に残っている先生たちはみんな部活で出払っていて、俺と阿部先生しか職員室にはいない。
よろよろと歩く阿部先生を支えて廊下に出ると、突然ばっと腕を離されて、阿部先生は口元を抑えてトイレに駆け込んでいった。
これは本当に病院直行コースだな。
俺も阿部先生も、今日は部活じゃなくて授業準備とかで残ってたから帰る分には問題ない。
心配だけど、一旦自分の車の鍵と阿部先生のカバンを職員室から取ってきて、車をすぐに出られるところまでまわす。
トイレに戻るとまだ、個室が一つ閉まったままだった。
岩本「阿部先生、大丈夫？」
トントン、と扉を叩いても、物音がしない。
これはやばい、と思って扉を外からガタガタ揺らしてみると、鍵の締まりが甘かったのか扉が開いた。
と、同時に扉にもたれかかるような体制だったのか、阿部先生が足元に倒れ込んでくる。
岩本「阿部先生、わかる？阿部先生？」
青白い顔に冷たい手。
想像以上にきっと重症で、急いで抱えて車に乗せ、後部座席に横たわらせたら病院まで車を飛ばした。
その間に病院には電話をして、そのおかげでスムーズに処置のために運ばれて、俺は気づいたら待合室の椅子に座っていた。
俺は体育教師だし、熱中症とかへの対応もきっと他の先生たちよりもやってきている。
けど、それを初めて発揮するのが先生だったとは。
同期で同い年、初めての赴任校という共通点から結構よく話すしご飯も行く間柄だけど、なんとなく心配になる先生ではあった。元々。
どこが、って言われると難しいけど…なんか、自分を蔑ろにしているような、そんな場面が多くて。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月17日 21時
