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目黒side
佐久間「夜中に起きちゃった？」
阿部「…うん」
佐久間「上着着て、どこか行きたいところあったの？」
優しくそう聞く佐久間くんに、口を閉ざしてしまった阿部ちゃん。
ぎゅっと強く上着の袖を掴んで、少し虚な目で床を見つめている。
たっぷり、静かな時間があった後、ゆっくりと阿部ちゃんは口を開いた。
阿部「どっか、とおく…とおくに、いこうと…おもっ、て」
佐久間「…そっか」
阿部「しんだほうが、楽だとおもって…いなく、なりたくて」
佐久間「…それくらい、しんどかったんだね」
阿部ちゃんの言葉を否定せず、寄り添う言葉をかける佐久間くんは落ち着いているように見えるけど、泣くのを堪えてるようにも見えた。
阿部「も、よくわかんない…ぜんぶ、なんか、いや」
佐久間「そっかぁ、いやになっちゃったか」
阿部「…ごめん、おこして…ごめん、めいわく、ばっかり」
佐久間「そんなことないよ…俺はね、阿部ちゃんにいなくなってほしくない」
目黒「俺も、阿部ちゃんと一緒でよかったって、楽しいって思う…だから、謝らないで」
ぽやっと床を見つめていた阿部ちゃんの瞳から、また、涙が流れる。
佐久間「今はさ、ゆっくりお休みして…寂しくなったり、今日みたいに、どうしたらいいか分からなくなったら、俺でも、めめでも、声かけてよ」
正直、俺には阿部ちゃんがどんな言葉を求めているのか、分からなかった。
でも、1人で、しかも真っ暗な夜中で、最近ずっとベッドで過ごしてた阿部ちゃんはじんわりと不安とか消えたい気持ちに支配されていってしまったんだと思う。
目黒「佐久間くん、俺敷布団持ってきますね」
佐久間「…うぅん？どうした急に」
目黒「今日は、3人でここで寝ましょう」
俺の突然の提案に、阿部ちゃんもやっと顔を上げた。
誰も何も言わないうちに、俺と阿部ちゃんが実家で使ってて持ってきてた敷布団を引っ張り出してリビングに持ってくる。
新しいシーツも部屋から持ってきてかけて、勝手に2人の部屋に入って、自分の分と３つ枕も準備して。
佐久間「はい、阿部ちゃん真ん中ね」
目黒「ちょっと狭いですけど、邪魔だったら佐久間くん蹴っ飛ばしていいよ」
佐久間「おい！俺先輩だぞ！？」
そんなやりとりの間も、阿部ちゃんはぼんやり天井を見つめてて、少し怖かったけど、次の日の朝には一旦落ち着いたのか、「ありがとう」と、俺の手を握り返してくれた。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月17日 21時
