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深澤side
ひととおり自己紹介をして、手を合わせて、いただきますを合図にみんなが食べ始める。
目黒とラウはデミグラスソースにして、俺と阿部ちゃんは大根おろしを乗せた和風のやつ。
ずっと病院食だった阿部ちゃんが突然味の濃いものは食べづらいかなと思って。
それはどうやら正解だったみたいで、和風の、ほとんど味がついていない方ですら、半分でごめんね、と箸を置いた。
深澤「いいのいいの。残りは食べ盛りが食べてくれるから」
そう言って、2人を見ると、違う味も気になるのか目を輝かせている。
ラウ「本当にいいんですか？」
阿部「うん、いいよ」
目黒「ラウ半分残しておいてよ」
ラウ「はいはい」
そんな光景をみて、幸せそうに笑う阿部ちゃん。
病院では見れなかった笑顔に、俺も嬉しくなる。
深澤「クリスマスだし、ケーキ買ってきたんだよね。あと、阿部ちゃんが買ってきてくれたやつも開ける？」
阿部「うん、開けていいよ」
目黒「俺、ケーキ切りますね」
ラウ「俺上のチョコプレート食べていいですか？」
深澤「んふ、いーよ、たべな」
キッチンでわいわい言いながらケーキを切る2人。
俺はテーブルで阿部ちゃんから受け取った紙袋を開ける。
深澤「缶？」
阿部「そ。開けてみて」
少し大きめの赤い缶。クリスマスを意識しているのか、靴下や星柄が散りばめられている。
缶が開かないように巻かれているテープを剥がす。
少し力を入れて開けると、そこにはクッキーがぎっしりと詰められていた。
深澤「うわ！かわいい、なんて言うんだっけこういうの」
阿部「え、普通にクッキー缶じゃないの？」
深澤「そうだっけ」
そんな話をしていると、ケーキが乗ったお皿を持った2人が覗き込んでくる。
おいしそ〜かわいい！なんて言いながらそれぞれの前に置いてくれたケーキは、1人一つきちんといちごが乗っていて、綺麗に切り分けられていた。
深澤「阿部ちゃん、食べれそう？クリーム」
阿部「ふっかの一口貰おうかな」
深澤「ん、いーよ。」
一口大のケーキをフォークに乗せて、阿部ちゃんの口の前に運ぶと、少し恥ずかしそうに、でも口を開けて食べてくれた。
阿部「ふふ、おいし」
深澤「よかった、俺が作ったわけじゃないけど」
阿部「ごめんね、せっかく切り分けてくれたのに…先に言えばよかったね」
目黒「気にしないでください、俺らが食べるんで！」
まだ少し緊張の残る3人だけど、みんな優しいから、すぐに打ち解けられるよ。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月17日 21時
