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阿部side
ぐるぐると頭の中を駆け巡るネガティブな感情。
今日はずっと、消えたい、いなくなりたい、俺なんて誰にも必要とされてない、みたいな気持ちが渦巻いていた。
たまに佐久間が部屋に来て、水だけ飲むように促されて、夜には薬も飲ませてくれて。
身の回りのことすら何もできなくて、ベッドからも動けない俺はもういない方がみんなのためだって思って。
気がついたら上着を羽織って、玄関の扉の前に立ってた。
でも頭が回ってないから、どこか遠くへ行きたいと思っても、どう、行動していいのか分からなくて。
靴を履いて、玄関の扉をあけて、歩けばいいだけのはずなのに、その時の俺は、玄関でフリーズしてしまった。
次第に溢れてくる涙は、なんの感情から出てくる涙なのかも分からなくて、拭うこともできずに、だんだん頭が重くなっていく感覚に身を任せていた。
すると突然、手があったかい手に包まれる。
目黒「…あべ、ちゃん、阿部ちゃん」
いつの間に、いたのだろう。
もうとっくに寝ていると思っていた目黒が、顔を覗き込んできた。
その後は促されるままリビングに戻って、毛布を持ってきてくれて、頭まで被ると暖かさと、自分のものではない人の匂いに、不思議な気持ちになって、また涙が溢れてきた。
どれくらい時間が経ったか分からないけど、身体をさすってくれている、頭を撫でてくれている感覚に気づいて。
安心したのか分からないけど、ゆっくりと息を吸うと、途端に苦しくなってきて、過呼吸だって、何度も経験してきた苦しさですぐにわかった。
独特な変な呼吸音と震える身体で異変に気付いたのか、がばっと頭まで被っていた毛布が剥がされる。
佐久間「阿部ちゃん、ゆっくり、息吐くよ。ふぅ…そう、もっかい。せーの、ふぅー…そうそう、上手」
なんで佐久間、と思ったけど。
佐久間の声に合わせて息を吐くのを繰り返すと、だんだん呼吸が落ち着いてきた。
やっと顔を上げると、心配そうな表情の佐久間と目黒。
佐久間「少し、落ち着いた？横になる？」
阿部「…いい」
佐久間「そっか」
優しく頭を撫でてくれる佐久間だけど、なんか、受け入れられなくて、「大丈夫」と手を払いのけてしまった。
あぁ、もう、嫌われちゃったな。
俺はもう出ていくしかないな、消えちゃった方がいいな、いなくなった方が俺も、みんなも楽だなって。
また、そう思った。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月17日 21時
