Snow Dome 2（雑多短編集） (ページ29)

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目黒side

最近、調子を崩している阿部ちゃんも、心配そうに世話を焼いている佐久間くんも、俺からしたらどっちもなんだか心配で。

その日、阿部ちゃんは朝起きてきて、昼前に部屋に戻ったきり出てこなくて。

夜は佐久間くんは多分部屋でゲームをしてて、俺はリビングでドラマの録画を見ていた。

何話か溜まってたから、気づいたら2時。

テレビを消して、なんとなくだらだらスマホを触っていると、微かに物音が廊下からした。

夜だからか、小さな音もはっきりと聞こえる。

どっちかがトイレに起きてきたのかな、と思ったけど、しばらくすると誰もいないみたいに廊下は静かになった。

電気もついてないし、そのまま部屋に戻ったのかなって、思って。

俺もそろそろ部屋に戻ろうとリビングの電気を消して、廊下に出る。

目黒「っうぉ…え？」

夜目が効かない俺はパッと廊下の電気をつけると、玄関に人影。

目黒「あべ、ちゃん？」

そこにはパジャマに上着を羽織った阿部ちゃんが、玄関の扉の方を向いて立ち尽くしていた。

目黒「…あべ、ちゃん、阿部ちゃん」

呼びかけてもなんの反応もないから、手を引くと冷え切っていてかなり冷たい。

顔を覗き込むと、静かに涙を流していた。

こんな時間にこんなところで、とか、上着を着ている理由とか、色々聞きたいことはあったけど、とりあえず手を引いてリビングのソファに座らせた。

俺も横に座って背中をさすっていると、しばらくして涙が落ち着いた阿部ちゃんは、「もう、大丈夫」と言って、ずるずると床に座り込んでソファにもたれるようにしながら膝を抱えた。

目黒「ホットミルクとか、飲みます？」

阿部「ううん、大丈夫…ごめん」

目黒「ちょっと毛布だけ持ってきますね」

冷え切った身体はまだ冷たくて、俺の部屋から1番あったかい毛布を手にリビングに戻る。

丸く、小さくなっている阿部ちゃんを包むように毛布をかけると、すっぽり頭まで自分でかけてしまった。

また、ヒックヒックと背中が震えだすから、優しく抱くように身体をさする。

俺じゃあどうしたらいいのかわからなくて、佐久間くんがまだ起きている可能性にかけて、スマホでヘルプのメッセージを送った。

すると、すぐに扉が開く音がして、そっと、リビングに顔を出す佐久間くん。

心配そうな表情でこっちに寄ってきて、そっと阿部ちゃんの頭を毛布越しに撫でた。