Snow Dome 2（雑多短編集） (ページ26)

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引きずられるようにページ26

佐久間大介(21):大学3年生。目黒と同じ大学。

目黒蓮(18):大学1年生。佐久間と同じ大学。

阿部亮平(20):大学2年生。双極性障害と睡眠障害をもつ。

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目黒side

ふぁ、とあくびをひとつ。

冬休みだけど、明けてすぐに期末レポートの提出日が迫っているから机に向かっている。

年末年始はゆっくりしすぎて何もしなかったので、冬休みもあと3日、というところでやっと手をつけた。

しかも手をつけ始めたのは夜の9時。

なんかわかんないけど変なタイミングでスイッチ入ることあるよね…って感じで、気づいたら1時を回っていた。

キリがいいしここで一旦終わろう。

もう既にぐずぐずの生活リズムだけど、そろそろ戻していかないと大学が始まっても朝起きられないなんてことになりかねない。

水を飲もうと思ってそっと部屋を出て、リビングに行くとまだ電気がついていて、あれ？誰か寝る時に消し忘れたかな、なんて。

でも、扉を開けてリビングに入ると、床に座ってソファにもたれかかりながら小さくなっている阿部ちゃんがいた。

目黒「阿部ちゃん？」

阿部「…あ、目黒」

テレビをつけているわけでもスマホを触っているわけでもなく。

本当にぼんやりとしていただけみたいだけど、夜の雰囲気もあってちょっと、なんか、消えちゃいそうで、こわい。

俺と、佐久間くんと、阿部ちゃん。

元々は親が仲良しで、よく遊んでて。

高校に入ったあたりでしばらく交流は途絶えてたんだけど、俺がたまたま佐久間くんと同じ大学に入学するってわかって、俺の親が心配だから…って佐久間くんと阿部ちゃんが同居するこの家に転がり込んだ。

なんで佐久間くんと阿部ちゃんが同居してんのかは知らないけど…

でも、阿部ちゃんがあんまり調子良くないんだって、それだけぼんやり佐久間くんから聞いた。

あとは俺から言うのも違うからって、詳しいことは知らない。

目黒「寝ないの？」

阿部「…眠れなくて。めめは？課題？」

目黒「うん、年末年始ゆっくりしすぎた」

ふふっと笑う阿部ちゃん。

俺がキッチンで水を飲んだりちょっと甘いものをつまんだりしていると、あべちゃんはまたぽやっと目の前を静かに見つめている。

阿部「ねぇ、めめ？」

目黒「ん？」

阿部「めめ、は…」

まっすぐ前を向いたままの阿部ちゃん。

何か言おうとして、やっぱなんでもない、と首を横に振った。