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阿部side
久しぶりに見た自分の部屋に繋がる扉。
そっとドアノブに手をかけてゆっくりと開けると、懐かしい気持ちになる。
倒れて、入院して、中々良くならなくて、3年近くもまた、病院で過ごす羽目になった。
やっと降りた退院許可だけど、週に1回はまだ通院しなきゃいけない。
でも、この部屋に、ふっかのいるこの家に、戻ってこれただけでそんな憂鬱を忘れるくらい幸せだった。
見回すと、大好きな本や図鑑が並んだ本棚。
確かに、掃除をしてくれていたのだろう綺麗な机。
そんな落ち着く、大好きな空間だけど、1番奥の窓側にあるベッドはどうしても、俺の身体が完全ではないことが嫌でもわかる。
病院と同じ、真っ白なリクライニング付きのベッド。
周りには、俺が生きるのに必要な簡単な機械などが少しだけ並んでいる。
深澤「荷解き落ち着いたらリビングきて。俺夕飯のしたくしてるから」
阿部「うん、分かった。ありがとう」
荷解きって言っても、長期の入院だったからある程度の洋服とかは洗濯もしてくれていたし、ふっかが部屋から持ってきてくれた暇つぶし用の本たちや、売店で買ったクロスワード、ルービックキューブなどを棚に戻していく。
最後にキャリーケースの中に残ったのは、赤い紙袋。
これは、今日、退院した俺がクリスマスの雰囲気にあてられて買った、みんなへのお土産。
ふっかには目黒くんとラウールくんっていう子が今はシェアハウスにいることは聞いていたから、少し大きいものを買ってきた。
みんな喜ぶかな、なんて思いながらその紙袋を出して、キャリーを閉める。
ベッドの下に押し込んで、もう使うことがありませんようにって祈って。
いや、やっぱりみんなで旅行とかいけたら楽しいのかな、なんて思ったり。
深澤「あっ、ラウおかえり〜」
ラウ「ただいま〜ふっかさん」
扉の外から聞こえる声は、もう1人のラウールくんかな。
少しドキドキしながら、紙袋を持って部屋を出た。
深澤「お、阿部ちゃん終わった？」
阿部「うん、終わった」
深澤「今ラウも店の片付け行ってくれたから、ソファーでゆっくりしてな。もうすぐ夕飯できるし」
阿部「うん…ね、これ」
深澤「ん？どしたの、その紙袋」
阿部「浮かれて、買ってきた」
深澤「どゆこと？ふふ、みんなが来たら開けていいの？」
いいよって言うと、嬉しそうに紙袋の中を見る。
今日の夜ご飯はハンバーグだよ〜こねてないけど、って言うふっかは楽しそうだった。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月17日 21時
