2 ページ20
阿部side
朝、起きた時からなんか身体がぼんやりしていて、いつもはできることもうまくいかなくて。
悔しいけどそういう日もたまにあるから、親の手を借りて、なんとかいつも通り学校に登校した。
でも2時間目のあたりから、どんどん身体の調子がおかしくなってきて。
ちょっと頭がぼーっとするし、座っている体勢が少ししんどい。
でも、理科の実験、どうしても参加したいし…と思って、実験終わったら保健室行こうって、思ってたんだけど。
3時間目は、音楽のペアワーク。
リコーダーをペアになって、上パートと下パートで分かれて、合わせて吹いてみよう、みたいな。
去年までの俺なら、余った人とか先生とそういうのはやってたんだけど。
佐久間と仲良くなってからは、佐久間がやろ〜って、こっちにきてくれるようになった。
音楽室の時の俺の席は廊下側。
今日も、一緒にやろ！って来てくれた佐久間だけど、ちょっと顔から心配の気持ちが滲み出てる。
たぶん俺が調子悪いのも気づいてるんだけど、でも理科の実験を楽しみにしてたのも知っててくれてるから、何も言わずにいてくれてるんだろう。
佐久間「一番端っこの席だし、周りもみんな吹いてるから俺らはちょっと休憩しよ〜」
そう言ってくれる佐久間に甘えて、俺もリコーダーから口を離した。
しばらくどうでもいい話をしたり、リコーダーの指だけ確認したり。
もうすぐペアワークの終わりの時間、って時に、佐久間がなんかそわそわして落ち着かないことに気がついた。
阿部「佐久間？」
佐久間「っえ？あ、えっと」
阿部「どうかした？」
口籠る佐久間。
なんだろう、って不思議に思っていると、ぱっと音楽の先生のところに行って、こっちに戻ってくる。
佐久間「…音楽の先生に、阿部ちゃん具合悪いって言ってきて保健室ついてくって言ったから、一緒に行こ」
阿部「…え？」
佐久間「いいから、一回、音楽室出よう」
何も状況を飲み込めてない俺をよそに、そっと扉を開けて車椅子を押す佐久間。
みんなリコーダーに夢中でこっちを見向きもしてないけど、佐久間だけが少し焦った様子なのが気になった。
それに俺、理科の実験出たいし。
阿部「ねぇ、俺大丈夫なんだけど」
佐久間「うーん、と…でも、何もないけど、保健室行こう」
何も説明してくれない佐久間。
いつもよりぼんやりしていた頭と、身体の感覚。
そこで、自分で気づくべきだったんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 504人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みお | 作成日時：2023年2月17日 21時
