意思と不自由と ページ19
深澤辰哉(30):保健室の先生。看護師資格も持っており、数年前までは病院で看護師として働いていた。
渡辺翔太(30):佐久間・阿部のクラスの担任。
佐久間大介(13):阿部のクラスメイト。中学2年になるこの春に転校してきた。
阿部亮平(13):下半身付随の車椅子ユーザー。
(Snow Dome【はじめの一歩】と同設定)
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佐久間side
まだ暑さの残る9月。
夏休み明けの教室はまだふわふわとした雰囲気で、授業中にも何度か先生に怒られていた。
そんな中、俺は2時間目を過ぎたあたりから様子がおかしい阿部ちゃんが心配でしょうがない。
3時間目が始まるって時に、声をかけに行った。
佐久間「阿部ちゃん、顔色悪くない？」
阿部「そうかなぁ、大丈夫だよ。具合悪くなったら保健室行くから」
本当は、朝から具合悪かったんだと思う。
でも、今日は理科の実験があって。
阿部ちゃんは前々から楽しみにしてて、色々自分で調べたり、教科書を読み込んだりしてたのを知ってたから。
たぶん、どうしても参加したいんだと思って、とりあえず様子を見ることにした。
理科は、4時間目だから、もうすぐ。
そしたら給食の前に渡辺先生がくるから阿部ちゃんの様子を伝えて…とか、色々考えてたんだけど。
もっと、早く伝えていればって、そう思う事態に発展してしまった。
でも、俺じゃどうしようもなくて、むしろ、同い年の俺じゃ、身体が自由に動く俺じゃだめなんだって。
それに、正直なんて声をかけていいのかわからなかった。
渡辺「佐久間」
佐久間「…」
渡辺「佐久間〜？」
ぼーっとしていたのか、トントン、と渡辺先生に肩を叩かれて、大丈夫か？って声をかけられる。
佐久間「俺は大丈夫です…」
そんな俺をみて、渡辺先生も複雑な表情。
渡辺「こればっかりは、仕方ないっちゃ仕方ないし、ふっか曰く、珍しいことではないみたいなんだけど…ここは病院じゃないし、同じ境遇の人がいるわけでもないから、ちょっと立ち直るのに時間がいるかもって」
佐久間「…そう、ですか」
渡辺「阿部が戻ってきても無理に励ましたりしなくていいから、いつも通りの佐久間で、友達で、いてくれたらいいよ」
佐久間「…はい」
俺がすぐ気づいて、俺以外の誰にも気づかれてなかったのが、本当に不幸中の幸いだった、と、思いたい。
阿部ちゃんと同じ班でやる予定だった実験だけど、結局阿部ちゃんは参加できなかった。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月17日 21時
