Snow Dome 2（雑多短編集） (ページ14)

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宮舘side

「亮平くんが、学校から帰ってから落ち着きがない感じで、ご飯も手をつけてません。少し髪を引っ張ったり自傷も出てきてるので、ちょっと荒れるかもしれません。」

宮舘「…わかりました。」

「ヘルプ呼びますか？」

宮舘「うーん…ちょっと佐久間にヘルプ頼みます」

「わかりました。連絡だけ入れておきますね。お先に失礼します」

宮舘「ありがとうございます。お疲れ様でした」

日勤の人に引き継ぎを受けて、とりあえずみんなの様子を見に行く。

今日は比較的落ち着いた雰囲気でみんな過ごしていて、少し早く来た俺は夕食の様子も見てたけど、他の利用者さんたちは穏やかだった。

そこに、亮平くんがいないのも気がついていて、ちらっと部屋を扉の窓越しに覗くと、部屋の中をぐるぐると歩き回って落ち着きがない様子が伺える。

それでもとりあえず利用者さんみんなのケアなどを終えて、眠りについた人もいて、亮平くんも一旦は落ち着いて部屋に戻ったようにみえた…んだけど。

阿部「あ゛ーーーーーーーーっ」

亮平くんの部屋から聞こえる興奮した大きな声。

亮平くんにはヘルプの佐久間がほとんど付きっきりでついてるから、とりあえず俺は周りの部屋を回って、大きな声に驚いちゃった人とかがいないかみてまわる。

幸いにも眠りについていたり自分の世界に入っていたりで、一緒にパニックになりそうな人はいなかった。

佐久間「亮平くん、痛いね、おてて離すよ〜」

俺も亮平くんの部屋に向かうと、うずくまって自分の髪の毛を掴んで、そのままガンガンと自分の頭を殴る亮平くんの姿。

佐久間は優しく声をかけるけど全然届いていなくて、中学生になって力も強くなった亮平くんの手をなかなか押さえられずにいた。

宮舘「たぶん自分で落ち着くのは厳しいかな…」

佐久間「俺もうちょっと頑張って落ち着かせるから、毛布の方お願いしてもいい？」

宮舘「うん、ちょっと待ってね」

亮平くんのベッドから、お気に入りの緑色の毛布を手に取る。

それを広げて、俺は後ろから待機。

阿部「ゔ〜〜〜っ、あ゛ぁっ」

佐久間「痛いね、苦しいね」

佐久間が亮平くんの身体をさすり続けること数分、一瞬亮平くんの手の力が緩んだタイミングで、佐久間はぱっと亮平くんの腕を掴んで下ろす。

丸くしゃがみ込んでいる体制が変わらないうちに、俺は腕ごと身体を毛布で包み込んだ。