惹きつける力 ページ13
佐久間大介(30):知的障害者向けグループホーム職員。ゆきぐみ担当。
宮舘涼太(30):グループホーム職員。ゆきぐみ担当。
阿部亮平(12):特別支援学校中学1年生。知的障害と自閉症を持つ。
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佐久間side
窓際に座り込んで、ゆらゆらと身体を揺らしながら空を眺める子どもが1人。
ゆきぐみにいる他の利用者さんたちはそれぞれもう学校なり作業所なりに行ってしまった。
そんな中、今日は1人亮平くんがここに残っている。
今は落ち着いて空を眺めている亮平くんだけど、昨晩、というか数時間前まで大荒れで、とてもじゃないけど今日は学校に行かせられる状態じゃなかった。
宮舘「眠そうな様子もないし、ご飯食べるか聞いてくる？」
佐久間「そうだね」
そっと窓際に向かって隣にしゃがみ込むけど、見向きもされない。
佐久間「亮平くん、朝ごはん、食べますか？」
阿部「…たべますか？」
佐久間「んにゃ、食べよっか。お椅子に、座ります」
ふらふらっと立ち上がろうとする亮平くんを支えてテーブルの、いつもの席に座らせる。
服が汚れないようにエプロンをつけていると、舘さんがプレートで朝ごはんを持ってきてくれた。
濡れたタオルで手を拭って、
佐久間「はい、いただきます」
亮平くんの手を俺の手と重ねて合わせると、ぺこり、と小さく頭を下げた。
はぁ、かわいい。
プレートの上には一口大の丸いおにぎりと、小さく切られた卵焼き、具はないけどお味噌汁もある。
手で食べちゃうことが多いんだけど、一応フォークを持たせると使ってくれることもあるから握らせてみる。
でも今日はダメみたい。
カランカランと握らせたフォークは床に落ちて、亮平くんはおにぎりに手をつけた。
まぁ昨晩のことがあるしね、無理だったか〜と思っていると、舘さんが新しいフォークをいつのまにか持ってきていて、交換してくれた。
佐久間「ありがと〜」
宮舘「いえいえ」
一応使い始めるかもしれないし、ご飯と結びつけて使うものだって覚えて欲しいから、目に入るところに置いておく。
本来は利用者さんたちは誰もいない時間だから、かなり余裕を持って亮平くんと向き合う時間がある。俺はヘルプで呼ばれたわけだし。
阿部「ん、んん」
佐久間「ん〜もうお腹いっぱい？」
宮舘「手じゃない？」
舘さんに言われて亮平くんの手を見ると、ご飯でべとべと。
綺麗に拭いてあげると、お味噌汁に手をつけた。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月17日 21時
