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目黒side
今日の夜勤は俺と舘様。
16時ごろ、施設の門を潜り、オレンジ組の玄関を開ける。
ただいま〜と、声をかけるが、誰からも返事がない。
靴は、ふっかさん、舘様。
まだ子どもたちは帰ってきてないのか、と納得して、靴を脱ぎ、並べる。
そこまでは、いつも通り。
しかし、リビングのドアを開けると、重たい空気の中、ふっかさんと舘様が話をしていた。
深澤「あ、めめ。来たね。」
目黒「あ、はい…俺、なんかしました？」
回りくどいのが苦手な俺は、すぐ直接聞いてしまう。
深澤「いや、めめがどうって話じゃないよ。ただちょっと、子どもたちが帰ってくる前に話があって。ここ、座って？」
目黒「…はい」
俺は指をさされた舘様の隣の席に座ろうと、机の方に寄ったとき、信じられないものが目に入った。
目黒「…え？」
動けなくなった俺を促すように、舘様が空いた椅子を引く。
目黒「阿部ちゃんの、数学ノート…？」
深澤「そう、だね。」
ふっかさんの言葉も重い。
目の前には、初めて見た人はノートだって分からないくらい、八つ裂きにされた紙の束。
深澤「最近の阿部ちゃん変だねって、舘さんとも話をしてたんだけど。目黒から見てなにか変わったことなかった？」
目黒「…いや、とく、に…あ、うーん…夜、部屋に篭りがちになったなっていうのはテスト前だからかな…あと朝ごはん…は、勉強で夜更かしでもして食欲ない、の、かな…」
宮舘「目黒、そうやって、行動の理由を俺らが決めつけるのは良くないよ」
舘様の言葉に血の気が引いた。
そう、散々勉強してきたじゃないか。
阿部ちゃんの異変。それは、前々から出ていたけど、俺が何かと理由をつけて、勝手に納得して、見逃していたのでは？
深澤「阿部ちゃんの部屋のゴミ箱に捨てられてた。見た目も、ひどいけど、中も、散々書かれてた。そもそも阿部ちゃんは自分のノートは過去のものも含め残しておくタイプだから、自分でやったとは到底思えない」
目黒「気づけた、はず、なのに」
そう、ふっかさんは主任の仕事が増えて他の組も回ってて、舘様はご家族の体調の都合で夜勤が増えていた。
だから今年に入って、日勤はほとんど俺と康二。俺が阿部ちゃん担当で、康二がさっくんの担当として、ちゃんと様子を見るように言われていた。
そして今日、久しぶりにふっかさんが朝オレンジ組にいて、異変に気づいた。
それは、俺が気づけなかった異変があったということ。
悔しくて、涙が溢れた。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
