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深澤side
深澤「阿部ちゃーん、お腹すかない？」
阿部「うーん、今日はいいかな。ごめんなさい」
深澤「そう言って昨日も食べてないって聞いてるよ。ゼリーとかは？食欲ない感じ？」
阿部「いや、なんか朝だからかな〜…昼とか夜は普通に食べてるから大丈夫」
深澤「そう？具合悪いとかあったらすぐ学校の先生とかにいうんだよ？はい、お弁当。舘様のやつだから美味しいよ」
阿部「うん、ありがとう。行ってきます。」
ひと足先に慌てて出て行った佐久間を見送った後の阿部ちゃんとの会話。
俺は何かストレス源があるんじゃないかと踏んでいる。
阿部ちゃんは、来た当初はまぁ俺も大学出たての新人だったのもあるんだけど警戒心丸出しで、試し行動も激しくて、でもどんどん打ち解けて泣いたり笑ったり感情豊かな子に育ってきたし、俺もそれをずっと見てきた。
だから、なんか、おかしいって、言ってる。俺の勘が。
最近の阿部ちゃん、貼り付けたようにずっと笑顔。
なんていうのかな、普通に今までは勉強で疲れた時とか、普通に疲れた〜って表情だったし、ご飯の時も、嫌いなものが出れば、ぶーぶー文句言いながら嫌な顔して食べてたんだけど。
最近は期末テストが近くて勉強時間が長いはずなのに、疲れた！って言ってこないし、この間なんか嫌いな野菜が添えられたご飯がでても、あれ？いつのまに？って感じで何も言わずに笑顔で食べてた。
なにか、隠してる。
たぶんめめと康二は気づいてなさそうだけど、舘様は気づいてるのか、夜も頻繁に部屋を覗いてる様子だった。
なんだろう、去年まで一緒に学校に通ってた佐久間が高校生になって生活リズムがずれてきたから？翔太がいなくなって寂しいとか？
こういうのは考えても仕方がないので、話を聞くしかない。
その前に、申し訳ないけど、ちらっと部屋を覗かせてね。
そっとドアを開けて阿部ちゃんの部屋に入る。
綺麗に整頓された机と本棚には、参考書や図鑑、小説など阿部ちゃんの性格が垣間見えるようなものが並んでいた。
ぐるりと見回して、特に部屋に異変は無さそう、と思った。けど。
深澤「あれ…？」
部屋の端にあるゴミ箱から、ぴょこんと紙が飛び出している。
今日は火曜日。
ここでは毎週月金が燃えるゴミの日なので、それぞれのゴミは自分で縛って、大きな袋に各部屋のものをまとめて出す決まり。
でも阿部ちゃんは、今週、「そんなにゴミないから」と言って、まとめてなかったことを思い出した。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
