Snow Dome（雑多短編集） (ページ6)

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出せないSOS ページ6

深澤辰哉(30):児童養護施設内にあるオレンジ組の主任。施設で働き始めて7年目。

目黒蓮(25):オレンジ組担当。施設で働き始めて2年目。

宮舘涼太(30):オレンジ組担当。深澤と同期。

阿部亮平(14):中学3年生。小学校2年生の時に警察に保護され、オレンジ組に来た。

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目黒side

ジリジリとした暑さのなか、じっとりと背中に張り付いた服が気持ち悪くて早足で目的の場所に向かう。

どうしても、頭から離れない彼の笑顔。

俺じゃ気づいてあげられなかった。

悔しくて悔しくて、でも、“悔しくて泣いてる暇があったら彼らのことをちゃんとみてあげて”という主任の言葉で俺は立ち上がった。

俺が不安な顔をしちゃダメだ、彼らに、響いてしまう。

一度立ち止まって、大きく深呼吸をする。

目黒「よし」

今日も頑張るぞ、という意味も込めて、声を出す。

そして、学校のような大きな門を少し開けて、そっと中に入った。

真っ先に目に入る玄関にはもものマーク。

その横を通り過ぎて少し奥まったところにあるもう一つの玄関にはりんごのマーク。

そしてその玄関のすぐ横にある階段を上がると、目の前に現れた３つめの玄関。そこにはみかんのマークが貼ってあった。

鍵を開けて中に入ると、綺麗に並べられた靴が3足。

時刻はもう16時。

2人とも帰ってきてるんだな、ということを確認して、俺も靴を脱ぎ、隣に並べた。

この児童養護施設は、なるべく少人数で、家族のような生活を目標に運営されている。

3つ、ユニットがあって、もも組、りんご組、オレンジ組。

振り分けは施設長が相性とかをみてしている様子。

もちろん、職員の振り分けも。

俺の働くオレンジ組は、主任がふっかさん、あと俺と、舘様って呼ばれてる人と、こーじくんの4人で職員は夜勤も含めて回してる。

オレンジ組は古株が多くて平和だねって他の組の担当には言われるけど、実際どうなんだろうか。俺はまだ2年目で、ここしか担当したことがないからわからない。

去年までは翔太くんって子がもう1人、いたんだけど、18歳になった今年で卒業していった。

だから今ここにいるのは高校1年生のさっくんと、中学3年生の阿部ちゃん。

もう間も無く夏休み…というところで、とある事態が発覚した。