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深澤side
保健室にある水道で口をゆすいでもらって落ち着いてきた阿部ちゃんだけど、少し横になりたいとのことだったので、手伝って1番奥のベッドに寝かせる。
片付けを済ませて、阿部ちゃんの寝ているベッドの横に椅子を持って寄る。
深澤「急に具合悪くなっちゃったかんじ？」
阿部「体育の後の、みんなの制汗剤の匂いで…」
深澤「あー、なるほど…今度からマスクとか持ってたほうがいいかもね」
独特な強い匂いが混ざって気持ち悪くなっちゃったんだろう。
でもそれはどうしようもないといえばどうしようもないし、毎回それで吐いてたら可哀想だから、なんとか解決策がないかと考えていると、ドアをノックする音。
深澤「はーい」
阿部ちゃんの寝ているベッドのカーテンを閉め、返事をする。
渡辺「阿部どう？」
深澤「さっき吐いて、今横になりたいって感じだったからベッドにいるよ。あの体育の後の制汗剤の匂いで気持ち悪くなっちゃったみたい」
渡辺「そっか、もう少し様子見て帰れなさそうだったらお迎え来てもらうわ」
深澤「お願い…あれ、」
翔太に気を取られて気づかなかったけど、ドアの近くに制服の男の子。
そこでやっと、思い出した。
深澤「そうだった〜今日健康診断やるよって言ってたわ。佐久間くんだよね？」
佐久間「あ、はい！」
深澤「ごめんごめん、一瞬忘れてた。ちょっと待ってね〜」
翔太はカーテンを少し開けて阿部ちゃんの方へ。
俺はすっかり忘れていた転校生の健康診断の準備を進める。
落ち着かない様子の佐久間くんは、初めて保健室に入ったから、とかではなく、阿部ちゃんのいる方を気にしている様子だった。
健康診断の表をみて、あ、同じクラスか、とやっと気づく。
深澤「はい、じゃあとりあえずそれ乗って。背筋伸ばしてね、そう…はい、157cm…体重45キロね…ちょっと軽いね、ご飯食べてる？」
佐久間「食べてます」
その後も健康診断を続け、1人だし、15分ほどで全て終わった。
深澤「はい、じゃあ終わり。おつかれ」
佐久間「ありがとうございます…あの」
深澤「ん？」
佐久間「阿部くん…大丈夫ですか？」
深澤「まぁ今は落ち着いてるし、病気的な具合悪いとかじゃないから大丈夫だよ」
佐久間「そう、ですか」
不安気な佐久間くんは、優しいのだろう。
と、翔太が佐久間くんをベッドの方に手招きしている。
阿部ちゃん、人に弱ってるところ見られんの嫌いだけど、大丈夫なのかな、と思いながら俺も着いて行った。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
