はじめの一歩 ページ38
深澤辰哉(30):保健室の先生。看護師資格も持っており、数年前までは病院で看護師として働いていた。
渡辺翔太(30):佐久間・阿部のクラスの担任。
佐久間大介(13):阿部のクラスメイト。中学2年になるこの春に転校してきた。
阿部亮平(13):下半身付随の車椅子ユーザー。
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阿部side
「阿部くんおはよ〜」
阿部「おはよう」
教室に入ると、すれ違ったクラスメイトは何人か、声をかけてくれる。
でも、いつも挨拶止まり。
気を遣われてるっていうか、なんか、可哀想だから声掛けとこ、みたいな。
車椅子を使う俺は、1番窓側の、1番後ろの席。
小学生の頃からずっとここ。中学生になってもそれは変わらない。
だんだんガヤガヤしてきた教室で、俺は1人、本を開く。
本は好き。
なれないと分かっていても、自分がなんでもできるような、知らない世界に連れて行ってくれるから。
チャイムの音で顔を上げると、先生はまだいない。
一応本は栞を挟んで、机の中にしまう。
ぼやっと、窓の外を眺めていると、ガラッと扉が開く音。
渡辺「はーい、お前ら座れ〜」
だるそうに入ってきた先生の後ろには、見慣れない顔。
みんなも気になったのか今日はすぐに教室が静かになり、その子の方を向いている。
渡辺「じゃ、自己紹介どーぞ」
んな適当な…と思っていると、隣の男の子はニコッと笑った。
佐久間「佐久間大介です！北海道から引っ越してきました！さっくんって呼んでね〜お願いします！」
初日とは思えないテンション。
ダブルピースまでキメた彼は、その日から一瞬でクラスに打ち解けていった。
席は俺の反対側。1番廊下側の、1番後ろ。
「転校してくるには変な時期じゃない？」
佐久間「なんか手続き？がうまくいかなかったぽくて〜ほんとは学年が切り替わるちょうど新学期から転校の予定だったんだよね〜」
そんな会話が聞こえてくるが、俺には関係ない。昼休み明け、5時間目は体育。
参加できそうなやつはやらされるけど、今日は機械体操なので、見学一択。
中途半端に参加させられてみんなに気を遣われるより、ずっと見学でいいのにな、なんて思いながら、階段を降りていくみんなを横目に俺は廊下の1番奥のエレベーターまで向かう。
階段移動が基本だから、使ってるのは俺と、あと上の学年にも1人、車椅子を使っている人がいるらしく、たぶんその人くらい。
一階まで降りて体育館に向かう途中、保健室に通りかかった
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
