ついて周る過去 ページ32
宮舘涼太(30):阿部の直属の先輩。部署の統括。
渡辺翔太(30):宮舘の同期で幼馴染。外回り担当。
阿部亮平(29):事務担当。
向井康二(28):阿部の初めての後輩。外回り担当。
ラウール(19):専門学校出たての新入社員。事務を勉強中。
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宮舘side
宮舘「阿部?この後の翔太と康二の訪問先の資料ある?」
阿部「ありますよ〜今印刷するんでちょっと待ってくださいね」
カタカタとパソコンをいじる阿部。
しばらくすると、事務所の奥にある印刷機がシャカシャカ動く音がして、そっちに向かうと丁度資料の印刷が終わったところだった。
宮舘「ありがとう」
阿部「いえいえ」
ニコッと微笑む阿部。
その隣のラウールは、必死でExcelと向き合っている。
阿部はそっちも気にしつつ自分の仕事をサクサク進めていて、できる男だなぁ、と改めて感じた。
阿部「あっ康二〜」
向井「なんですか?」
阿部「この訪問先なんだけどさ、ここが他のところと違ってそれを全面に押し出してる感じだから、そこを重点的に聞いてきてほしいな」
向井「分かりました!ありがとうございます〜」
向井は阿部の初めての後輩。
小さな会社だからずっと阿部が1番下だったんだけど、一昨年転職してきた康二は歳も一個下だし、経験も浅くて、阿部が指導係として事務作業から始めて、関西出身なのもあって話すのが上手だからって、阿部の推薦で外回り担当に移った。
その日の仕事を終えて、翔太と康二も外回りから帰ってきたのを確認して。
宮舘「じゃあもうすぐ17時だから、キリのいいところで仕事終わらせて片付けに入ってね」
そう声をかけて、みんなのデスクを周る。
順々に、終わりの作業に入って行っているなか、阿部のパソコンだけがまだ光を放っている。
宮舘「阿部〜そろそろ終わんなよ」
阿部「はーい、分かってます」
俺が終わりを見届けようと後ろに立っていると、視線を感じたのか、渋々と言った様子でパソコンを閉じた。
ぐっと伸びをする阿部の腕を、ふざけて反対側に押してみる。
阿部「ぃっだだだだ、ちょ、舘さん!」
宮舘「ごめんごめん、つい」
阿部「ついって!」
文句を言いながら、席を立って奥の階段を上がっていく。
みんなもそれに続いて、順々に上のフロアに上がって行った。
宮舘「あ、ラウール」
ラウ「はい?」
宮舘「シャッター閉めるの手伝って。背、高いから」
ラウ「任せてください!」
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作者名:みお | 作成日時:2023年2月10日 6時