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佐久間side
佐久間「あべちゃーん、大丈夫、大丈夫。ゆっくり息しようか」
過呼吸気味の阿部ちゃんに聞こえるように声をかけるけど、涙が溢れているし、パニック状態で正直どこまで聞こえてるかわからない。
しゃがみ込んだ身体は強張っていて、手は自分の髪の毛を掴んでしまっている。
佐久間「怖かったね〜、蓮くんが守ってくれたんだね。大丈夫だよ〜」
俺は床に座って足の間に丸くなった阿部ちゃんを納めて背中を摩りながら抱きしめる。
呼吸の方はだいぶ落ち着いてきて、大丈夫そう。
隣からは蓮くんの大きな泣き声がすごいけど、阿部ちゃんは自分で精一杯で、あまり耳に入ってない様子。
どれくらい経っただろう。
いつのまにか泣き止んだ蓮くんが阿部ちゃんと目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
そっと、蓮くんは手を伸ばして阿部ちゃんの頭を撫でる。
目黒「守れなくてごめんね、」
そう呟いた蓮くんに胸が痛む。
守れてたよ大丈夫だよ。ありがとう。
そう伝えようとしたとき。
阿部「ぇ、んく…」
阿部ちゃんが、顔を上げた。
まだヒックヒックとしゃくり上げてはいるが、確かにいま、蓮くんの名前を呼んだ。
それは蓮くんにも、渡辺先生にも聞こえていたみたいで、みんなで阿部ちゃんの言葉を待つ。
阿部「ぁ、り…がと…」
確かに、ありがとうと、自分の言葉で伝えた阿部ちゃん。
阿部ちゃんはゆっくり手を伸ばして、蓮くんの手を握った。
俺はそっと阿部ちゃんの正面を蓮くんに譲る。
すると、蓮くんはゆっくりと阿部ちゃんを抱きしめて、それに応えるように、阿部ちゃんは腕を蓮くんの背中に回した。
俺と渡辺先生は顔を見合わせて、思わず笑みが零れる。
2人が落ち着いた頃を見計らって、主に蓮くんから、状況を聞いた。
目黒「あのね、俺とあべちゃんがおはなししてたら、急にドアがばーんってあいて、俺のクラスの、3人がいて、あべちゃんに…えっと…」
言葉に詰まる蓮くんに、渡辺先生の助け舟。
渡辺「なにか酷いこと言ったの？」
すると、重い口を開いて、衝撃的な言葉。
目黒「おまえ、あたまがおかしいからこのクラスにいるんだろ、って言ってきて、俺が、ちがうよっていったら、こっちきて、あべちゃんまもらなきゃって、手を引っ張って、そしたらいつのまにか教室の端っこにいて」
そこからは俺らが見た状況の通り。
渡辺先生を見ると、うわ〜ブチギレてるわ〜という表情。
蓮くんも阿部ちゃんも俯いてて見てなくてよかった。
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作者名：みお | 作成日時：2023年2月10日 6時
